今回はBリーグ開幕前総評最終第11弾の千葉ジェッツ編。


昨季シーズン総評はこちら『Bリーグ22-23 シーズン総評 千葉ジェッツ』今回はシーズン総評最後の千葉ジェッツ編。 昨季シーズン総評はこちら『Bリーグ21-22 シーズン総評 千葉ジェッツ』シーズン総評第7弾はまさかこの時期に書くこ…リンクameblo.jp



外国人選手予想はこちら『Bリーグ23-24 新外国人予想 千葉ジェッツ』今回はBリーグから新外国人選手予想第8弾の千葉ジェッツ編。昨季開幕前総評はこちら『Bリーグ22-23 開幕前総評 千葉ジェッツ』Bリーグ開幕前総評第7弾は千葉…リンクameblo.jp



千葉は昨季スタッフが大量に離脱するという、恐らく予期せぬ事象が発生して選手以外にもスタッフの獲得にも奔走しなければならない大変なシーズンであった。


しかも外国人編成も従来と大幅に変える形で心配な部分もあったが、それらを跳ね除けて天皇杯優勝とシーズン最高勝率を記録する凄まじいチームだった。


リーグ優勝こそ逃してしまったが、未だにインサイド重視のチームが多い中でアウトサイドやペリメーターでアドバンテージを得るバスケや外国人選手全員のポジションが異なる部分など従来の日本バスケとは明らかに違った千葉は見ていて楽しいチームだった。


しかも、一昨期から課題や弱点とも言えた部分がほぼ改善されている上に強みも底上げするなど理想的なチームスタッツの変動が起きたのも素晴らしく、パトリックHCは就任1年目にして元から強いチームを更に引き上げた。


チームスタッツで気になるのはFT%くらいで、攻守ともにリーグで最も付け入る隙のないチームだったように思う。


そんな千葉は昨オフが激動のオフだっただけに今オフは平穏なオフを予想していたが、今オフも驚くべき移籍がたくさんあり、千葉は話題に事欠かないチームと思った。


そんな千葉の今季のロスターを順に見ていくと、まずPGは富樫、小川、西村、大倉が継続。


リーグトップクラスのPGである富樫がいるのはもちろん、ベンチから少ないPTでも確実にシュートを決めて仕事をする西村の年長組に加えて若い小川と大倉がいてバランスが取れている。


特に大倉はポテンシャルを感じる選手なので怪我なくプレイ出来れば大きな戦力になるはずで、千葉のPGは相変わらずリーグトップクラスの布陣と言える。


SGは原と二上が継続。


原が残留したのが何より大きく、確率は意外に低かったが勝負所で決めてくれるシュートやフィジカルを活かしたドライブやもちろんのこと、何よりディフェンスでの原の貢献は凄まじい。


二上が怪我なくプレイ出来るのであれば原に負担が偏ることもないと思うのでSGも強力。


SFは金近が継続しステフェンズが新加入。


ステフェンズは当ブログでも試合を何回か取り上げたこともあり、スティーブンスだと認識していたが今後はステフェンズで統一ということで。


ステフェンズは身体能力の非常に高いオフボールタイプのスイングマンでハイライトダンカーとして有名。


カットが特に上手いのでスペーシング抜群かつアシストの上手い富樫のいる千葉とは相性が良いはず。


シュートも得意で、スミスのようにOTDC&S問わず高確率で決められるわけではないがC&Sから打つ3Pは確率が高く、近年はほぼ35%以上で決めている。


流石に4割以上で決めていた前任のスミスより確率は落ちるかもしれないが、それでも高確率が期待出来る選手である。


一方でFT6割台のシーズンも多く、不安要素かもしれない。


トランジションでの走力も素晴らしく、ブレイクやTOからの得点が多い千葉ではその点も活かせるはず。


リバウンドも身体能力が高いのでこのサイズのスイングマンとしてはリバウンド力がある選手である。


オフボールタイプなのでTOも非常に少ないが、前任のスミスはオンボールスキルも高かった上にTOも少なかったのと比べると、TOという観点では見劣りするかもしれない。


ディフェンスではオンボールディフェンスに定評があり、ペリメーターディフェンスは特に上手い。


気になったのは千葉ではSF/PF登録されていることであり、千葉ではもしかしたらPF起用もされるのかもしれないが、ここ数年に自分が見たステフェンズの試合でPF起用されている試合は見たことがないので実現するなら楽しみである。


前任のスミスと比較してオンボールスキルが劣ることやFT%3P%がスミスより下がりそうな点から総合的にもスミスの方が若干上と見ている。


金近は昨季練習生だったので未知数であることからも佐藤と同等以上のプレイが出来るのならばオン2の時間帯でも日本人選手とのマッチアップは心配なさそう。


ステフェンズと金近でSFは昨季よりは少し落ちると見ているが、それでもオン3でステフェンズを使えるのでアドバンテージを取れる部分になるはず。


PFは荒尾が継続してブラウンとマッツが新加入。


このPFが個人的に最も懸念している部分で、ギャビンからブラウンに変わったのは特に戦力ダウンが危惧される所ではないかと思うが、ブラウンよりも先にまずは新加入のマッツについて。


マッツは知らない選手なのでスタッツとハイライトを見ての印象になってしまうが、前任のローとは全く違うタイプのフォワードなのは間違いない。


オンボールではドライブやポストプレイで得点出来るようだが、見たところドライブもポストプレイも特にスキル自体は高いようには思えず、平均的にこなせるくらいのレベルと見ているがハイライトでは何とも。


カットでも得点出来るようだが、こちらも特別上手いというわけではなさそう。


トランジションで得点出来る部分では千葉と合いそうである。


シュートは苦手というか下手な部類で、3Pは大学平均30%で低確率な上にアテンプトも少ないのでローと大きく異なる部分であり、シュートには期待しない方が良さそう。


同じくFTも大学で7割以上を記録したのは1シーズンのみで、大学平均は64%なので下手なレベルと言える。


得点力も当然ながらローと比べたら劣るのは言うまでもない。


ここまで見てきて、3Pが大きなアドバンテージだった千葉が獲得する選手としては意外に思えるが、他の部分を見ると千葉の意図が見える箇所もある。


例えば、パスが非常に上手く、フォワードの選手としてはアシスト数が多い上に昨季のアシスト割合は3割近い驚異的な数値を誇る。


ハイライトでもアシストの上手さが際立っており、ハイロー、ポストアウト、ディッシュなど多彩なパターンを色んなポジションから繰り出せる。


特にハイポストからカッターやシューターへのパスは抜群に上手く、ゾーンを使ってくる相手には心強そうである。


タイプ的にもステフェンズやムーニーとも相性は合うはずであり、ポイントフォワードやファシリテーターとして機能するマッツは今までの千葉にいなかったタイプと言える。


オフェンス面でシューティング以外に気掛かりなのはTOの多さであり、アシストが多いとは言え、個数はもちろんだが割合で見ても大学5シーズン中4シーズンで20%以上なのは心配ではある。


リバウンドは大学でトップリバウンダーで、プロでどれくらい取れるか全く分からないが、ローと同等程度は取れるのではないかと見ている。


そしてディフェンス面であるが、スカウティング動画によると評価がかなり高く、3番から5番まで幅広く守れるとされている。


少なくともポストディフェンスは確実にローよりは上なはずであり、スカウティング動画からはペリメーターディフェンスもかなり期待出来そうなのでペリメーターディフェンスが強い千葉にはうってつけかもしれない。


というか、千葉がマッツ獲得に決めた最大の要因はペリメーターディフェンスにあると睨んでいるのでより平面のディフェンスで仕掛ける千葉が見られそうで楽しみである。


以上マッツを見てきて、ローと比べると得点力やシューティング力で劣るかもしれないが、千葉はそもそも得点力や攻撃力という意味ではリーグトップクラスのチームであり、多少得点力が下がったくらいで影響はないと思っている。


なので、ローからマッツの入れ替えではシューティング力とTOくらいが不安な点だと考えており、ロー以上のアシスト力とディフェンス力のあるマッツであれば相殺出来るのではないかとも思う。


そういう理由からローとマッツの入れ替えによる戦力ダウンは起きてない、もしくは微細なものに留まると見ている。


それどころか、池内GMのコメントによれば例年と違って予算が厳しい中でローと比較して総合的には大きく見劣りしなさそうな選手を獲得出来たのであれば十分ではないだろうか。


次に、懸念しているブラウンであるが、ブラウン自体は丈夫な選手であるとは言え、年齢が41歳でギャビンよりもかなり高齢なのとサイズが15センチも下がるのは怖い。


オフェンスでもチームが違うので単純比較は出来ないが、ブラウンとギャビンでは平均PTも平均FGAもブラウンがだいぶ多いのに平均得点では僅かにブラウンが上という具合になっている。


カットやトランジションで得点出来るのは千葉と合いそうだが、ギャビンほどポストプレイやダイブが上手いわけでもないのでハーフコートではミスマッチでのシールやポストピンが中心になるかもしれない。


シュートは年々入らなくなっており、大阪時代の3P%は軒並み低確率かつ2シーズン連続で下降中、しかも今季と一昨期はキャリアでも最多レベルのアテンプトに増やしたにも関わらず低かった。


ギャビンも昨季はキャリア最多の3PAで千葉移籍以降最低の確率となってしまったが、それ以前は基本的にアテンプトが少なくても高確率で決めてくれていたので厄介だったわけで、ブラウンにはそういう点も期待しにくいかもしれない。


そして最も憂慮すべきはFTであり、ブラウンはキャリアで1度も7割以上を記録したことがなく、昨季に至っては54%で余りにも低い。


ギャビンは3シーズン連続で7割以上で決めていたので、ブラウンに変わることによるFTの落差は大きい。


先述したマッツと合わせてFTが下手な選手が外国人・帰化選手で2人もいるのは少しリスキーであり、接戦時の起用にも関わってきそうである。


リバウンドも昨季の数字自体はブラウンの方が上だが、単純なリバウンド力ではギャビンの方が上だと思うのでリバウンドもムーニーが下がった時間帯は心配である。


ディフェンスでもポストディフェンスは明らかにギャビンが上で、ペリメーターディフェンスは若干ブラウンが上だが、ブラウンも上手いという印象はないので千葉のチームディフェンスにどれだけ適応出来るか次第でディフェンス面でギャビンより貢献出来るか変わってきそうである。


特にムーニーが下がった時間帯を昨季はギャビンで凌げたが、今季はマッツとブラウンで凌がなければいけないのはかなり難しそうである。


長くなったが、ローとギャビンからマッツとブラウンへの入れ替えでPFは昨季と比較して戦力的にはダウンと感じる。


最後にCはムーニーであるが、個人的には昨季のリーグMVP選手であり、ムーニーさえいれば大崩れしない安心感さえある。


攻守で凄まじい貢献をする献身的な千葉の大黒柱で、プレイ面では何の問題もなく、Cはギャビンがいなくなったので枚数とムーニーの怪我のみが心配な要素と思っている。


以上、ロスターを見てきてギャビンとブラウンの入れ替えが千葉全体に与える影響は大きいと思っており、それによりロスター全体でも昨季比で戦力ダウンと見ている。


千葉は全員別のポジションの外国人選手を集める編成で昨季成功したが、それはギャビンがいたからこそ出来たとも思っており、ブラウンになった今季も同じようにスイングマン、フォワード、ビッグマンで編成したのはチャレンジングに見えるので吉と出るか凶と出るか楽しみである。


ヨーロッパではモナコがスモールラインナップでウェンバンヤマとトーマスが並ぶルバロアを攻略していたが、日本でも同じような光景が見られることを期待したい。


戦力ダウンと述べたが、元が強すぎるチームなので上位に位置するのは変わらないと思っており、地区枠からプレイオフに出場すると予想。


個人的注目選手はムーニー。


まだ25歳ながら既にリーグトップクラスの選手でリバウンドへの意識が非常に高い上に強い。


ディフェンスも素晴らしく、リバウンドとディフェンスでの貢献度合いは別格だった。


オフェンスでも高確率のシュートや効率的なフィニッシュだけでなく、アシストで味方を活かすことも可能でありながらTOも少ない。


圧巻のパフォーマンスだったムーニーが新加入の選手と組んでどうなるか早く見たい。


開幕前総評は第1弾の広島編でも述べた通り今季は北海道編は没にするので今回でラストであるが、昨季同様に全チームの初来日の外国人選手に焦点を当てた番外編は今季も挙げる予定。


ただ、海外試合の記事ストックが大量にあるので、投下は機を見てプレが始まる前までにタイミングを見てということで。