彼は今夜の宿に向けて車を走らせた。


今夜泊まるところがどんなところなのか私は全く知らない。


私の滞在中のスケジュールは全て彼に任せているので、もちろん食事する場所や遊びに行くところ、泊まるところも彼にお任せ。


てっきりホテルに泊まるのかと思っていたんだけど、どうやらそうじゃないらしい。


彼が言うには、アグリツーリズモという農家の人が経営している宿で、値段も手ごろで、食事もそこの畑で採れたものを使った手作りのものをだしてくれる、アットホームな宿なんだそう。


普段ホテルで寝泊まりしている彼にとっては、こういう所の方が落ち着くみたいだ。


ホテルの冷たい雰囲気ではなく、アグリツーリズモのような家庭的な空間がほっとするのかもね・・・家**






車から外を見ると、辺りはすっかり暗闇につつまれていた。


さっきまで建物や街灯の明かりがあったのに、今はそれすらない。


すれ違う車の数もかなり少なくなってきた。


山の中まできたのか、カーブや坂も多い。







1時間くらい走ったあたりで、ようやく道の向こう側に、建物があるのを見つけた。







車を停め、車を降りると、冷たい空気が一気に体を包み込んだ。


でも、寒さよりも、その空気の新鮮さに驚いた。


空気がとってもキレイ!!!


ふと、上を見上げると、空いっぱいに星が広がっている夜空


こんなにキレイな夜空を見たのは久しぶり・・・


一気にテンションが上がってしまったうえ





宿のオーナーさんが出迎えてくれ、部屋まで案内をしてくれた。


部屋のドアを開けると、そこにはキッチンが!


冷蔵庫に、コンロ・・・棚もついていて、テーブルまで置いてあった。


キッチンを通って、その先にあるドアを開けると・・・





初彼氏☆初国際遠距離☆初イタリア人




ベットルームビックリ


しかもカワイイハート




初彼氏☆初国際遠距離☆初イタリア人



ベットの側にはテーブルがあって、その後ろには暖炉が置いてある。(2枚目は翌朝の写真なのでちょっと散らかってます汗


オーナーさんは暖炉に火をつけると、簡単に部屋の説明をして部屋を出て行った。





写真はないけれど、バスルームもとってもキレイで、私が想像していたものよりもずっとずっと素敵だった桜


山の中に、こんなところがあるなんて・・・キラキラ






暖炉の前で体を温めていると「上着、脱がないの?」と言って彼がぎゅっと抱きしめてきた。


彼がさっきまで着ていた黒い上着を脱いで白いジャケット姿になっていた。


荷物の整理もしないといけないし、お風呂も入らないとなんだけど・・・


「寒いからここからうごけないんでしょ~??」


・・・バレてた?(笑)


ごまかすように笑いながらちゅっとキスをした。






「じゃあ、先に僕はシャワー浴びてくるから、キミはここで荷物を整理するといいよウインク


そう言って、白いジャケットをベットに脱ぎすてバスルームに向かう彼。






そのジャケットを見て、思わず「あっ!!」と叫んだ。






これ・・・


ジャケットの肩のあたりにある・・・それって・・・・・






「ダーリン、そのジャケット、最近買ったの?」


振り返った彼が、にこっと笑ってうなずく。


「そうだよ、いいでしょ?それ?」







ジャケットには赤い太陽の刺繍がしてあって、そのそばに「JAPAN」とあった。


白いジャケットを欲しがってたのは知ってたけど・・・


これにしたのぉ~!?


なんだか可笑しくて、あははっと笑っていると


「だって、キミが日本人だからきら


と言って彼はバスルームのドアを閉めた。






これ、日本に来た時に着るつもりなのかな・・・


それはちょっと恥ずかしいかも(笑)






そのジャケットを手に取りハンガーにかける。


まだ彼のぬくもりが残っていて、温かい。


ビックリしたけど、でも、なんだかうれしくってジャケットの刺繍を指でなぞりながら、さっきの彼の言葉を思い出した。






『キミが日本人だから』







私が日本で、イタリアの国旗に目がいくように、彼もまた同じ気持ちでいてくれたのかな。


そう思うと、心がぽかぽかと温まった。






うれしい・・・ハート






やっと暖炉から離れられたのに


今度はジャケットの前から離れられなくなってしまった。




マルペンサ空港に到着すると私は足早に飛行機を降りた。


到着したことをSMSで彼に伝えると「4番ゲートで待ってる」という返信がきた。


一刻も早く彼のもとへ飛んでいきたかったのに私のスーツケースがなかなか姿をみせず・・・


しばらく足止めをくらうはめになった。



今日の便はいまだかつてないほどの乗客の少なさだった。


なのにこんなとこでこんなに待たされるなんて・・・なき



やっと流れてきた自分のスーツケースをターンテーブルから引きずりおろすと


左肩に手荷物の大きなショルダーバックをかけ、右手にスーツケースを持ち、さらにスーツケースの上にもう一つの手荷物を乗せて出口に向かってガツガツと歩き出した。





出口の向こうには、たくさんの出迎えの人の姿があった。


私の会いたい人は、この中にはいない。


そうわかっているんだけど、もしかしたら?と思って一度確認しちゃうんだよね。


だって・・・


ホントは出口のとこまで出迎えに来てほしかったから。


そんな再会の仕方にちょっと憧れてたりしたんだよね・・・。


だから、この出迎えの人たちの視線がちょっと苦手㊦ぁ・・・


早くこの場から逃れたくて、急いで立ち去ろうとしたとき


私の目の前を、誰かが横切った。






「あ・・・。あのひと・・。」






飛行機で見かけた、あの日本人女性だっだ。


彼女が出迎えの人の群れの中に向かって行くと、1人の男性が人の間を縫うようにして前に出て彼女をぐっと引き寄せた。


2人は軽くキスをして、彼が周りの人から彼女を守るように抱き寄せてその場から立ち去って行った。





やっぱり、あの子も私と同じだったんだ・・・。


見ず知らずの相手でも自分と同じ境遇の子が、あんな風に幸せな再会を果たしたと思うと、なんだかとっても嬉しかった。





「私の再会は、あと数分お預けかぁ・・・。」


ふぅっと息を深く吐いて、一番近くのドアから外へでる。


外は暗くて、とても寒かった。


「大好きな人はこの先にいる。」


スーツケースを持つ手にぐっと力を入れ、4番ゲートに向けて歩き始めた。




1つゲートを通り過ぎるたびに、歩く速度も上がっていった。


6番ゲートを過ぎ、5番ゲートが見えてきた。


歩く速さはどんどん上がる。


5番が過ぎ、目の前に「GATE 4」の文字が見えてきた。




「あと、少し・・・あと、少し・・・」




4番ゲートの下に人が何人か立っているのがわかる。


でも・・・


あきらかに、彼ではない。



















「GATE 4」





















着いた。


4番ゲート。






でも、いない・・・






























なんで?























早く歩きすぎて息が切れていた。


はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・


呼吸を整えながら、あたりを見回す。


でも、いない。




携帯を取り出し、彼からのSMSを確認してみる。


「4番ゲートにいるよ。」


見上げてみても、そこには「GATE 4」の文字。


ここであってる・・・。


なのに、どうして・・・・・・・・・・・・




一気に心が不安でいっぱいになった。


「どこにいるの?」


SMSを送って、その場に立ち尽くす。




「昨日、『今日はマルペンサに泊まり込むから、迎えには絶対遅れないよ!』って言ってたのに・・・どうしていないの?せっかくマルペンサに着いたのに、なんでいきなりこんなに不安にならなくちゃいけないの!?」


切なさと不安でいっぱいの中、ふと、あの飛行機の日本人の女の子のことが思い浮かんだ。


「いいな・・・あの子。空港の出口まで彼が来てくれてさ。きっと今頃彼とラブラブなんだろうな・・・。あんなに幸せいっぱいの再会だったし。なのに・・・私はまだ会ってもいない・・・どうして・・・・」


悲しくて涙がでそうだった。


思い描いていた幸せいっぱいの再会が、どんどん悲しい色に染まっていくようだった。




















その時・・・























「HELLO」























その声にハッとして、声のする方を見ると


目の前に黒いジャケットが見えた。


そのまま視線を上にもっていく・・・


























「HI笑顔
























「●◆☆▼△□★~~~~ぎくっ!!!!!!」













声にならない悲鳴を上げて、私はその声の主に抱きついた。


「HI,ダーリン、ここにいたんだねびっくり!!


見上げたその先には、見慣れた彼の笑顔があった。


その笑顔を見たら、うれしくて抱きついてしまった。



彼は「外は寒いから」と言って私を空港中に入るように促した。


「僕、ずっと中で待ってたんだよ?そしたら君から『どこにいるの』ってSMSがきたから、あたりを見回したら外に君に似た子がいたんで、もしかしたら・・・と思ったら、やっぱり君だったおんぷ


そう言いながら、彼は私から荷物を全て取り上げた。


「重いからいいよ汗」と荷物を持とうとする私の手を彼は「いいのっ!!」と払いのけると、左肩にショルダーバッグ、右肩に手荷物さらに右手でスーツケースを持ち、空いている左腕で私を抱き寄せた。



私たちは地下にある駐車場に行くためエレベーターに向けて歩き始めた。






「ダーリン、昨日はマルペンサに泊まったの?」


「え!?泊まってないよ笑


「え~、私の迎えを忘れないように泊まることにするって言ったじゃんビックリ


「あれは冗談だよ~。知ってるでしょ?僕が冗談好きなこと!それに泊まらなくてもこうやってちゃんと来たでしょ~音譜君こそ寒いのに何で外にいたの?」


「だってこの前BOSSが迎えに来てくれたとき、BOSSは外にいたんだもん溜め息


「あぁ、なるほどね。それでかあげ





そんな会話をしながら、ゆっくりエレベーターまでの距離を2人で歩いた。


さっきまで不安でいっぱいだったのに、今はもう幸せで胸がいっぱいだった。


会話の最中、私は彼の横顔をしばらく見つめていた。


ふっと私が前を向きなおると、今度は彼が私の顔を見つめる。


彼がまた前を向くと、また私が彼を見つめる。


そして私が前をむくと、また彼が私を見つめて・・・


そんなことをしばらく繰り返していると、ぱっと目が合った。


すると、2人同時に目を逸らす。




彼の顔は見たいけど、久しぶり過ぎて目が合うと恥ずかしかった・・・。


それは彼も同じようだった。




嬉しさで胸がいっぱいで


「私、今ダーリンと一緒にいるの!!!!!クリスマスも一緒に過ごすの!!私、超~~~~~~~~幸せぇ~~~~~~~~~~ハート


そう叫びだしたいくらいだった。























12月19日




私は1人、飛行機に乗り込んだ。


出発のための準備に追われ、バタバタとしていたらあっという間にこの日を迎えていた。


おかげで今回は再会までのカウントダウンすらできなかった・・・ガーン


本当は会えるまでの日々を指折り数えて、ドキドキドキドキワクワクドキドキしたかったのにぃがっかり


遠距離恋愛ならではの楽しみを、一つ無駄にしてしまったように思えて、ちょっとブルーな気持ちでいたんだけど・・・




飛行機に乗り込んで、一気にテンションが上がってしまったやじるし






だって・・・




だって!




だって!!




だって!






この飛行機、がっらがらなんだもぉ~~~~~~~~~~~んハート






今まで何回か飛行機には乗ってきたけど、こんなに人がいないの初めて!!


前も、後ろも、左も、どこを見回しても人がいない!!!


私の座席の列にはシートが3つ。


もちろん、だれもいないので3つ使いたい放題aya


枕もブランケットも3つ独り占めsao☆


トイレだって並ばなくっていいわーい


なにより、エコノミーで横になって眠れるおうおう







超ぜいたくきらきら







航空会社にとっては全くありがたくないいことだろうけど、こんなにとってもとっても快適に過ごせて、本当にラッキーハート








本当はお行儀が悪いことなんだろうけど・・・


着陸する2時間くらい前になると、私は最終準備にとりかかる。


そう、お化粧をするんですアナスイネイル


彼に会いに行く時は肌に負担をかけないようにスッピンで飛行機に乗って、機内でメイク口紅


久しぶりに会うから・・・やっぱり、きれいでいたいんだよねパン子


迷惑・・・とわかっていても、これだけは譲れない女心。


隣に人がいると気を遣うし、申し訳ない気持ちにもなるのでちょっとやりにくいんだけど、今回はその心配もないうえ






座席の上の棚から荷物を取りだそうと立ち上がると、反対側の列の後ろのほうに1人、女の人がいるのに気付いた小梅ちゃん3



日本人の女の人で、



連れの人もいないようだった。



私といっしょ。



1人きり。



彼女もメイクをしていたコスメ



マスカラを手に、



丁寧に、丁寧に



お化粧している。







きっと、彼女もこれからダーリンに会いに行くんだろう・・・


なんの証拠もないけれど、そう思った。






「あの子は何日ぶりの再会なんだろうか?」


「彼にお土産、何買ったのかな?」


「クリスマスは一緒に過ごすのかな?」


「何日間一緒にいられるのかな?」


同じ日に、同じ便で、大好きな人に会いに行く人にこうして出会えるなんて・・・


なんだかとっても嬉しい気持ちになった。


見ず知らずの彼女と自分が重なって、急に親近感がわいてきた。

そう決まったわけではないのにね(笑)












彼女は、どんな再会の瞬間を迎えるんだろう??













そして、私は・・・











私にはどんな再会が待っているんだろう?





















再会の時まで、あと少し。