マルペンサ空港に到着すると私は足早に飛行機を降りた。
到着したことをSMSで彼に伝えると「4番ゲートで待ってる」という返信がきた。
一刻も早く彼のもとへ飛んでいきたかったのに私のスーツケースがなかなか姿をみせず・・・
しばらく足止めをくらうはめになった。
今日の便はいまだかつてないほどの乗客の少なさだった。
なのにこんなとこでこんなに待たされるなんて・・・
やっと流れてきた自分のスーツケースをターンテーブルから引きずりおろすと
左肩に手荷物の大きなショルダーバックをかけ、右手にスーツケースを持ち、さらにスーツケースの上にもう一つの手荷物を乗せて出口に向かってガツガツと歩き出した。
出口の向こうには、たくさんの出迎えの人の姿があった。
私の会いたい人は、この中にはいない。
そうわかっているんだけど、もしかしたら?と思って一度確認しちゃうんだよね。
だって・・・
ホントは出口のとこまで出迎えに来てほしかったから。
そんな再会の仕方にちょっと憧れてたりしたんだよね・・・。
だから、この出迎えの人たちの視線がちょっと苦手![]()
早くこの場から逃れたくて、急いで立ち去ろうとしたとき
私の目の前を、誰かが横切った。
「あ・・・。あのひと・・。」
飛行機で見かけた、あの日本人女性だっだ。
彼女が出迎えの人の群れの中に向かって行くと、1人の男性が人の間を縫うようにして前に出て彼女をぐっと引き寄せた。
2人は軽くキスをして、彼が周りの人から彼女を守るように抱き寄せてその場から立ち去って行った。
やっぱり、あの子も私と同じだったんだ・・・。
見ず知らずの相手でも自分と同じ境遇の子が、あんな風に幸せな再会を果たしたと思うと、なんだかとっても嬉しかった。
「私の再会は、あと数分お預けかぁ・・・。」
ふぅっと息を深く吐いて、一番近くのドアから外へでる。
外は暗くて、とても寒かった。
「大好きな人はこの先にいる。」
スーツケースを持つ手にぐっと力を入れ、4番ゲートに向けて歩き始めた。
1つゲートを通り過ぎるたびに、歩く速度も上がっていった。
6番ゲートを過ぎ、5番ゲートが見えてきた。
歩く速さはどんどん上がる。
5番が過ぎ、目の前に「GATE 4」の文字が見えてきた。
「あと、少し・・・あと、少し・・・」
4番ゲートの下に人が何人か立っているのがわかる。
でも・・・
あきらかに、彼ではない。
「GATE 4」
着いた。
4番ゲート。
でも、いない・・・
なんで?
早く歩きすぎて息が切れていた。
はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・
呼吸を整えながら、あたりを見回す。
でも、いない。
携帯を取り出し、彼からのSMSを確認してみる。
「4番ゲートにいるよ。」
見上げてみても、そこには「GATE 4」の文字。
ここであってる・・・。
なのに、どうして・・・・・・・・・・・・
一気に心が不安でいっぱいになった。
「どこにいるの?」
SMSを送って、その場に立ち尽くす。
「昨日、『今日はマルペンサに泊まり込むから、迎えには絶対遅れないよ!』って言ってたのに・・・どうしていないの?せっかくマルペンサに着いたのに、なんでいきなりこんなに不安にならなくちゃいけないの!?」
切なさと不安でいっぱいの中、ふと、あの飛行機の日本人の女の子のことが思い浮かんだ。
「いいな・・・あの子。空港の出口まで彼が来てくれてさ。きっと今頃彼とラブラブなんだろうな・・・。あんなに幸せいっぱいの再会だったし。なのに・・・私はまだ会ってもいない・・・どうして・・・・」
悲しくて涙がでそうだった。
思い描いていた幸せいっぱいの再会が、どんどん悲しい色に染まっていくようだった。
その時・・・
「HELLO」
その声にハッとして、声のする方を見ると
目の前に黒いジャケットが見えた。
そのまま視線を上にもっていく・・・
「HI
」
「●◆☆▼△□★~~~~
!!!!!!」
声にならない悲鳴を上げて、私はその声の主に抱きついた。
「HI,ダーリン、ここにいたんだね
」
見上げたその先には、見慣れた彼の笑顔があった。
その笑顔を見たら、うれしくて抱きついてしまった。
彼は「外は寒いから」と言って私を空港中に入るように促した。
「僕、ずっと中で待ってたんだよ?そしたら君から『どこにいるの』ってSMSがきたから、あたりを見回したら外に君に似た子がいたんで、もしかしたら・・・と思ったら、やっぱり君だった
」
そう言いながら、彼は私から荷物を全て取り上げた。
「重いからいいよ
」と荷物を持とうとする私の手を彼は「いいのっ!!」と払いのけると、左肩にショルダーバッグ、右肩に手荷物さらに右手でスーツケースを持ち、空いている左腕で私を抱き寄せた。
私たちは地下にある駐車場に行くためエレベーターに向けて歩き始めた。
「ダーリン、昨日はマルペンサに泊まったの?」
「え
泊まってないよ
」
「え~、私の迎えを忘れないように泊まることにするって言ったじゃん
」
「あれは冗談だよ~。知ってるでしょ?僕が冗談好きなこと!それに泊まらなくてもこうやってちゃんと来たでしょ~
君こそ寒いのに何で外にいたの?」
「だってこの前BOSSが迎えに来てくれたとき、BOSSは外にいたんだもん
」
「あぁ、なるほどね。それでか
」
そんな会話をしながら、ゆっくりエレベーターまでの距離を2人で歩いた。
さっきまで不安でいっぱいだったのに、今はもう幸せで胸がいっぱいだった。
会話の最中、私は彼の横顔をしばらく見つめていた。
ふっと私が前を向きなおると、今度は彼が私の顔を見つめる。
彼がまた前を向くと、また私が彼を見つめる。
そして私が前をむくと、また彼が私を見つめて・・・
そんなことをしばらく繰り返していると、ぱっと目が合った。
すると、2人同時に目を逸らす。
彼の顔は見たいけど、久しぶり過ぎて目が合うと恥ずかしかった・・・。
それは彼も同じようだった。
嬉しさで胸がいっぱいで
「私、今ダーリンと一緒にいるの!!!!!クリスマスも一緒に過ごすの!!私、超~~~~~~~~幸せぇ~~~~~~~~~~
」
そう叫びだしたいくらいだった。