試合前のプレビュー
Villarreal USAの記事を抄訳
9月にセルタの本拠地バライードスに出向いた際にはビジャレアルが試合を支配したが、ジョナタン・ペレイラとハビエル・アキーノのシュートはキーパーのジョエル・ロドリゲスに阻まれた。試合はスコアレスドローに終わり、3節まで3連勝、4節のレアル・マドリード戦でも勝ちに等しい引き分けと好調だったビジャレアルが一息つく結果となった。
なお、前節アスレティック・ビルバオ戦のセルタの先発メンバーは、平均年齢が24.5歳というフレッシュさだった。注目選手は中盤のノリートとラフィーニャである。Footballistaの2014年3月号で木村浩嗣編集長は、リーガ最高の中盤の底にシャビ・アロンソとセルヒオ・ブスケツのふたりを挙げ、双璧に次ぐ存在としてボルハ・オウビーニャを挙げている。
自信の怪我やクラブの降格によってキャリアを狂わされてきたオウビーニャはフアン・カルロス・バレロンと重なるが、ビジャレアルのブルーノ・ソリアーノとも重ねてしまう。ブルーノは靱帯断裂などの大怪我に見舞われたことはないが、レギュラーを掴んだのが25歳と遅い苦労人であり、クラブが降格しても移籍することなく昇格に貢献したところはオウビーニャに通じるところがある。ともに腕章を巻き、ポジションも似ている。
現在のビジャレアルは5位。4位のアスレティック・ビルバオとの勝ち点差は4、監督交代後に急浮上中のバレンシアとは勝ち点9差である。前節のレアル・マドリード戦では守備が不安定であり、メンバー変更があるかもしれない。カニの負傷からの復帰と、オリベル・トーレスのデビューが期待される。なお、レアル・マドリード戦とセルタ戦の合間にはフランシスコ・ハビエル・ファリノスの現役引退が発表された。(別記事参照)
セルヒオ・アセンホ、カニ、オリベル、パブロ・イニゲス、イケチュク・ウチェと、5人もの選手が健康上の理由で欠場する可能性がある。ソシエダ戦でデビューした17歳のマティアス・ナウエルはビジャレアルBに欠かせない歯車となっており、セグンダB(3部)のビジャレアルBはセグンダ(2部)昇格プレーオフにあと一歩の位置にいるため、ナウエルがトップチームに招集されることはないだろう。
予想先発(Villarreal USA)
GK : フアン・カルロス
DF : マリオ、ガブリエウ、ムサッキオ、ヨキッチ
CH : ピナ、ブルーノ
SH : トリゲロス、モイ・ゴメス
FW : ジオバニ、ペルベ
※Roig会長はヴァレンシア語の発音規則に則りロッチと表記しています。
ビジャレアル 0-2 セルタ
得点者 : オレジャーナ、ノリート
出場選手
GK : フアン・カルロス
DF : マリオ、ムサッキオ、ドラード(77分ガブリエウ)、ヨキッチ
CH : ピナ、ブルーノ
SH : トリゲロス(73分ナウエル)、モイ・ゴメス
FW : ペルベ、ジオバニ(77分ジョナタン)
ジオバニの負傷 / 先制を許す
負傷者が多いビジャレアルは、セルヒオ・アセンホの代わりにフアン・カルロスが先発出場。リーグ戦では今シーズン初出場らしい。また、ジャウメ・コスタの代わりにボヤン・ヨキッチ、カニとハビエル・アキーノの代わりにモイ・ゴメスとマヌ・トリゲロス、イケチュク・ウチェの代わりにジェレミー・ペルベが先発起用された。冬の移籍市場でエルナン・ペレスが退団したことで、モイ・ゴメスがサイドハーフの控え1番手に定着したようである。
73分にはトリゲロスに代わってマティアス・ナウエルが出場。トップチームデビューした1月13日のソシエダ戦以来の出場である。BDFutbolによるとビジャレアルBでは2トップのレギュラーとして起用されているらしく、フアントに次いでフォワード陣2位の5得点を挙げている。フアントは昨シーズン35試合出場18得点でチーム得点王となり、今シーズンも22試合出場10得点のフォワード。
セグンダB(3部)のビジャレアルBはグループ3の6位に付けており、セグンダ(2部)昇格プレーオフ圏内(4位以内)まであと一歩の位置にいるが、Bチームの事情に気を配ってられないほどトップチームの人材不足が深刻ということだろうか。
77分にはジオバニ・ドス・サントスがノリートと接触して負傷交代した。83分にはセルタが先制。アレックス・ロペスのフリーキックをファビアン・オレジャーナが頭でそらした。
催涙ガス弾による試合の中断
87分にはスタンドからアウェーゴール前に催涙ガス缶が投げ込まれ、試合が20分間中断した。Goal.com英語版はSmoke bomb(発煙弾)という単語を使用しているが、ロッチ会長によると投げ込まれたのは「催涙ガス(Tear gas)を放出する、警察が使うような装置(device)」だそうである。
催涙ガス缶はビジャレアルファンが座っていた区画からゴール前に投げ込まれた。この区画の観客が口と鼻を押さえて出口に殺到したのを見たダビド・フェルナンデス・ボルバラン主審、すぐに試合の中断を決定した。選手はドレッシングルームに戻り、スタジアムアナウンサーの誘導で観客も避難した。
ライターが投げ込まれたのとは訳が違うのに、中断はよく20分で済んだと思う。セルタは中断までに交代枠を使い切っていたために、眼をやられたキーパーのジョエルはそのままピッチに立ったようである。もしビジャレアルが同点ゴールを決めていたら、より大きな問題になっていたかもしれない。
直接FKによるさらなる失点
ロスタイムにはノリートに直接フリーキックを決められた。壁は4枚だったが、ゴールまでの距離が近かったこと、足元を抜かれないように壁がジャンプしなかったこと、フアン・カルロスがファーポストに寄りすぎていたこと(これは結果論で仕方ない。キッカーとの駆け引きの結果。)、ノリートのキックは高さもコースも完璧だったことが失点の原因だった。ノリートは得点後にコーナーフラッグを抜いてイエローカードを受けている。若い。
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今シーズンのビジャレアルが敗れた試合で、決勝点が80分以降だったのは初めて。やはりフアン・カルロスとセルヒオ・アセンホの間には力量差がある気がします。セットプレー2発に沈んだというのは堪えます。
数日前にはレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドめがけてライターが投げ込まれる事件が発生していた。スペインサッカー界はなにやら不穏な空気に包まれている。ピッチに投げ込むのはヒマワリの種くらいにしてほしい。
エル・マドリガルでのセルタ戦という地味な試合で事件を起こすあたり、やっぱり外部の人間がロッチ会長やクラブ関係者に対する怨恨から事件を起こしたのでしょう。イメージとしてエル・マドリガルは比較的警備が薄そうですが、マドリードやバルセロナで事件を起こしたほうが遥かに話題性は高くて効果的ですからねー。
なお、正キーパーのアイトールをトップチームに取られてしまったビジャレアルBは、チーム内得点王フアントの決勝点で最下位AEプラットに勝利。順位を6位から5位に上げています。