<リンク>Elctornic journal

<以下転載>

●「日銀にインフレ目標を実施させた山本議員」(EJ第3247号)

 今日のEJは、2月2日の衆議院予算委員会における自民党の
山本幸三氏と安住財務相、白川日銀総裁のやりとりを文章にして
編集のうえお届けします。動画(27分)も付いています。
 安住財務相の常識と知識のなさ、白川総裁の曖昧答弁──ひど
いものです。当事者意識ゼロです。こんな連中にまかせておいた
ら日本経済は増税をしなくても壊滅します。
 安住財務相の答弁は、言葉の数は多いものの、意味不明、事実
誤認、棒読み──田中防衛相と何も変わらない。しかし、安住氏
の場合は新聞やテレビは絶対に取り上げないのです。
 山本幸三氏の追及のせいか、バレンタインデーの2月14日、
日銀は事実上のインフレターゲットに踏み切っています。
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 山本/お配りしたグラフを見ていただきたいんですけれども、
    これを見れば一目瞭然なんですよ。2000年を100
    として、日本銀行だけですよ、ほとんど何もやってない
    のは。とくにリーマンショック以降、日本の円が高くな
    ったのはリーマンショック以降ですがね、何もしてない
    のは日本銀行だけですよ。通貨の価値ってのは、それぞ
    れの通貨の相対価格なんだから、たくさん出した方の通
    貨が安くなるに決まってるじゃないですか。これが基本
    ですよ。そのことを財務大臣、理解されますか。
 安住/私の方から申し上げたいのは、中国のような経済規模が
    大きくて成長が10%前後の時には、やっぱり供給量っ
    てのはもの凄く増えていくであろうと思います。ですか
    ら総体の量としてのことはあると思いますが、他方で、
    対GDP比で見たときの比率ということでいえば30%
    弱の供給比にあると。それに対してFRBは18.8 、
    ECBは24.2 という統計もありますので、一概に統
    計で数字だけ見て中国が非常にジャンプをするほど大き
    くなってるのに比べて日本は極端に低いという総量的な
    あの考え方は十分私も分かりますけれども、対GDP比
    で見たときのそういう指標もあるということは事実では
    ないかというふうには思っております。
 山本/何を馬鹿なこと言ってるんですか。中国との経済規模は
    中国が大きい?去年ですよ、抜かれたのは。日本の方が
    大きかったんだよ、今までは。それなのに、中国の方が
    どんどん伸ばしたんですよ。何の説明にもならないよ、
    そんな。日本の方が大きかったんだよ、経済の規模は。
    それから、ね、対GDP比、あなたは日本のGDPは、
    今のGDP何年前のと同じだか知ってますか?今の日本
    の名目GDP、これは何年前のGDPと同じぐらいか分
    かってますか。
 安住/あの、500兆円弱でございますから、大体15年ほど
    前だというふうに認識しておりますが・・・
 山本/大体470兆円ちょっとだよ。それは1991年のレベ
    ルだ。ね、20年だ。そんなことは財務大臣の基本の常
    識ですよ。名目GDPが税収を決めるんだよ。その名目
    GDPを知らないで、あなた、税収を担当する大臣が務
    まりますか。この名目GDPが20年前から全然変わっ
    てないんだよ。そんな議論を日銀とやってて、あなたは
    それに騙されてるだけだよ。ね。GDPが20年変わら
    なきゃ、比率上がるに決まってるじゃないの。この間中
    国のGDPは何倍になったか知ってますか。
 安住/えー、この20年でということで、正確な数字は分かり
    ません。大体で、えー、30倍ぐらいだと思うんです。
 山本/大きすぎだよ。12倍。20年でアメリカは2.5 倍に
    なったんだ。だから、アメリカが2.5 倍になって今の
    比率は日本とほとんど同じなんだ。圧倒的に日本が何も
    してないっていうことなんですよ。それを、GDP比率
    で、ねえ、マネタリーベースの量は高いから十分やって
    ますなんて、それで騙されてるんですか、あなた。1月
    25日にFRBは、緩やかなインフレの調整策、しかし
    目標はきちっとして設定し、それに対してコミットする
    ということについては約束した。それは緩やかなインフ
    レ目標政策ですよ。これを日本でも導入しない限り、変
    わらない。それをやるつもりありますか、財務大臣。
 安住/インフレーション・ゴールということで、ターゲットで
    はないということはバーナンキ議長も会見では、いって
    いると聞いておりますが・・。
 山本/あなた、バーナンキがね、インフレ・ターゲットじゃな
    いっていますが、バーナンキがどう発言したの?
 安住/つまりこれは「ゴール」であって、「ターゲット」では
    ないとことをさらに記者会見でいっていると思います。
 山本/日銀はね、一生懸命デマしてるの。会見の英文を見たら
    びっくら仰天したよ。誤訳だよ。バーナンキはこういっ
    てるんだ。インフレに最優先度を与えて、他の目的、た
    とえば雇用をね。過度のゴールという形で運営するよう
    なことをインフレターゲットというのだったら、そうで
    はありませんと。自分たちは物価と雇用を両方追い求め
    る形でやるんですといってるんですよ。それを日銀の訳
    は「インフレターゲットは物価の安定を最大の政策目標
    としており、雇用などが副次的な目標であることを指す
    のだとすれば、FRBはふたつの目標を有しているので、
    インフレ・ターゲティングではない」完全な誤訳ですよ
    これは。日銀総裁、こんな誤訳をあなたは作らせてそれ
    を配って回らせてるけどあなたは指示したんですか。
           ──白川総裁の答弁は「関連情報」参照
    動画→ 
http://www.youtube.com/watch?v=h9-9MlxLoww
―――――――――――――――――― [財務省の正体/73]


≪画像および関連情報≫
 ●山本議員の質問に対する白川方明日銀総裁の答弁
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  えー、お答え致します。えー、バーナンキ議長の先日の記者
  会見での応答については、私もあの、拝見しております。で
  あの、バーナンキ議長が繰り返し言ってることは、ただ今議
  員からご指摘のあるようにですね、えー、FRBは物価の安
  定と、それから雇用の最大化、これがあの、FRBのマンデ
  イトの目標でございます。で、そうした(聞き取れず)から
  与えられたその二つの目的を達成していくということで、そ
  のインフレーション・ターゲティングという言葉は、これは
  まあ人によって定義は違いますけども、まあ往々にして、物
  価、その物価の安定の数字だけを見ていく政策だというふう
  な誤解も有りますので、もしそうであるとすれば、それは、
  インフレーション・ターゲットではありませんというふうに
  なっております。それから、別の文脈のところで、あの、バ
  ーナンキ議長が言ってることは、その、いわゆるインフレー
  ション・ターゲティングを採用している国においても、物価
  だけに焦点を当てて運営している、そういう中央銀行は存在
  しないということを言っておるわけで、言ってますことは、
  これは日本銀行法の規定と同じで、これはあの、物価の安定
  を通じて国民経済の健全な発展に資するということが日銀法
  に定められております。で、そういう意味で日本銀行もFR
  Bも同じような目的の下にですね、金融政策を行っていると
  いうふうに理解をしております。
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 ●山本幸三議員の配付したものと同じ資料
<転載終了>


<私のコメント>

日本はこの20年間、名目GDPが増加していません。山本議員が述べているように、名目GDPで税収は決まるのですから、税収も伸びません。こんな国は世界中見渡しても日本だけですあせる

その原因は山本議員も含めて様々な識者が述べているように、お金の量が足りないからです。お金の創造量が販売物の供給量よりも足りなければ、販売物は売れ残り、価格を下げるデフレが発生します。

他の国は、お金の増加と消費の増加が連携しているために経済成長が実現するわけです。

日本で消費が伸びないのは、国民に欲しいものが無いからだ、という暴論が一部で聞かれますが、そんなことはありえません。

車も持てなくなり、住宅も持てなくなり、年金も払えなくなり、結婚も出来なくなり、子供も持てなくなった現在の国民がどれだけ豊かな生活を送っているというのでしょうか?

日銀の2月14日に発表したインフレ目標は、それまでの1%の物価上昇を目標にすることを「理解する」という意味のぼやけた表現から、「ゴールにする」という明確な表現に置き換わりました。

ゴールという言葉を使ったので注目がされているわけですが、実質、それが実現できなければ、何らかの責任を取る、という仕組みになっていない以上、本当に機能するのか疑問に思います。


また、日銀がいくら量的緩和をしても市場に直接マネーを注入できない(しにくい?)現在のシステムでは、ひたすら大量にお金を作り続ければ、どこかの部門にバブルが生じる可能性があります。つまり作り出したお金がどこの部門に流れるかをコントロールしにくいシステムなのです。

バランスの良い物価上昇と景気回復を実現させるには政府が公共事業や社会保障のような形で、日銀が創造するお金を使えるシステムに変更するべきでしょう。