ひでみさんという人。 | 天野朋子は生野菜がお好き。

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天野朋子のブログ。

初舞台から何度も共演させて頂いてきた、女優さんが亡くなりました。


知らせを聞いてから数日。
思うこと感じることが沢山あるけれど、
どれもこれも自分を守るエゴのように思えて仕方ないのです。


だから、このことについて書こうか書かないか、ずっと考えていました。


書き始めた今、思っていることは、

私のブログを読んでいる方がどれだけいるのか分からないけれど、

小さくても警鐘を鳴らすことが出来るなら…

彼女の素晴らしさを1人でも多くの方に知って頂けたら…

ただそれだけです。


私がこれから書くこで、気分を害する方がいたらごめんなさい。

…………


2015年11月28日深夜2時頃。

ミュージカル座劇団員の山本英美さんが、交通事故に巻き込まれ亡くなりました。


飲酒運転による、轢き逃げ事件。




車は便利ですが、簡単に人の命を奪う力を持っています。


どうか。

絶対に。

飲酒運転なんてしないで下さい。



英美さんのご冥福を心からお祈り致します。


…………


英美さんとの思い出をいくつか書こうと思う。



私の初舞台の『トラブルショー』初演。

何一つまともに出来ない素人の私に、
キリンのぬいぐるみがついたペンを持った英美さんが沢山稽古をつけて下さいました。


なんだか、すごく印象的だったんだね。

キリン。


キリンのぬいぐるみがついたペンを持った英美さんのお芝居は、
キラキラ眩しくとても輝いていました。



『マリオネット』初演。

共演はしていないのよ。この作品で。
でも、とても思い入れがある。

現在までに3回の再演を重ねた『マリオネット』。
私は初演と再演だけ、グレース・オマリーという女海賊の役をやらせて頂いていました。


自分が出ていない『マリオネット』を観に行った時、
劇場で会った英美さんが、

「天野のグレース・オマリーは最高だったよね~!!」と数年越しに言って下さいました。


実は、私、あの役大好きで、かなりおこがましいけれど、
私にぴったりだと思っていたんです。
男勝りで力強くて、何かを探し続けている感じ。


それを、英美さんが覚えていて、褒めて下さり、
役者としてこんなに嬉しいことはないと思いました。




『野の花』

シュタイナー先生っていうね、堅い先生がトイレに落ちるシーンがあるのよ。

そこ。

やるたびに「天野、今のはイマイチね。しっかりシーンにケリつけていかなきゃ」とか、

「そうそう!今のよ!今のだと笑えるのよ!」と言って下さり、

時に面白く、時に熱く、芝居を語って下さいました。


誰よりも稽古場で涙を流し、誰よりも作品を愛していた英美さん。

何年たっても追いつけない存在でした。



『不思議なラヴ・ストーリー』

私、タップをする場面があってね。この時。

それをみた英美さんが、

「天野!もっとこう!ふぅ~~~↑↑って感じ出して!ほら、こうっ!!」

と言って、全力で踊って見せるからお腹を抱えて笑いました。




そうなの。

どれもこれも楽しくて嬉しくて笑っちゃうのよ。


作品ごとに書いちゃったけれど、

この10年間、稽古以外でも沢山お話をさせて頂き、

何度となく腹筋が痛くなるほど笑わせて頂きました。



だから、私。

笑った思い出をずっと持っていたい。


事故に巻き込まれた可哀想な英美さん

ではなくて、

明るくて優しくて温かくて、とにかく面白い英美さん


として私の中に生きていて欲しいと思う。


そして、

出来れば、皆さんの中でも、明るく楽しい英美さんが生きていてくれたら嬉しい。




明日は必ず来るけれど、

そこに自分が、自分の大切な人がいるとは限らない。




ひでみさん。

本当にありがとうございました。



天野 朋子