嘔吐小学館がこの時代に満を持して創刊した文芸誌「GOAT」に掲載されていた小川哲さんの小説をオーディブルで聴く。ちなみに本誌はKindleで購入した。紙の文芸誌というこだわりへの冒涜のようにも感じられて、自分でもこの愉しみ方は合ってるのかどうか不安だけれど、とりあえず作品はとても面白かった。小学館、いい仕事しますね。 嘔吐: (小学館) Amazon(アマゾン)
ブラックボックス主人公の生きにくさの、おそらく原因となるものが、作品の途中から、唐突とも感じられるような描かれ方をしているのは、狙いなのかそうでないのか。狙いだとしたら、うまいなと思うし、そうじゃないのだとしたら、少しもったいないかな…。 ブラックボックス (講談社文庫) Amazon(アマゾン)
少年と犬震災によるさまざまな喪失と、犬との出会いを通して癒やされていく人々の姿を描いた連作短編小説。直木賞受賞作だけれど、そこは馳星周…、チンピラとか娼婦が出てくるエピソードが秀逸だった。 少年と犬 (文春文庫) Amazon(アマゾン)
図書館 愛書家の楽園アルゼンチン出身の編集者アルベルト・マンゲルによるエッセイ集。マンゲルは高校生の頃、母国の偉大な作家で盲目でもあったボルヘスの読書係を務めていたこともあるそうだ。詩的な文体で綴られたこの本には、図書館にまつわる深い思索が詰まっていて、タイトルの通り、まるで“夜の図書館”で静かに時を過ごしているような、発見に満ちた読書体験が味わえた。 図書館 愛書家の楽園[新装版] Amazon(アマゾン)
われは熊楠熊楠が主人公の歴史小説を読む。数か国語を操る、語学の天才。粘菌の研究で知られる、稀代の博物学者。天皇への進講を頼まれた際、標本を進献するのにキャラメル箱で渡したという逸話も有名だ。ただ、この小説に出てくる熊楠は、ずっと何かに苛まれているようだ。幼少の頃から頭の中でやかましく喚く声といい、世界と自分との間に、うまく接点を持てないまま、孤独と情熱のはざまで生きている。水木しげるによる「猫楠」では豪胆な感じで描かれていたエピソードも、見方によっては繊細の裏返しに感じられるし、これは相当にしんどかったに違いない。 われは熊楠 (文春e-book) Amazon(アマゾン)