2020年に創業した小さな出版社、水鈴社から出された医療の現場を舞台とした小説。著者は『神様のカルテ』でも有名な現役医師だ。ちなみにこの版元の社長は『13歳のハローワーク』の編集者だったそう。全体的にはわかりやすい話なのだけれど、ときどき顔をのぞかせる、生きるとか幸せとかについての問いが、なかなかに絶妙で、何度か思わず、うるっときてしまった。あとは矢来餅、阿闍梨餅、長五郎餅をはじめとする京都の銘菓がいたるところに登場するのも心憎い。村上開新堂のマドレーヌに、亀屋友永の松露、パティスリーカランの西加茂チーズ…あとはなんだっけ。そうそう、緑寿庵清水の金平糖もメモしておかないといけないな。




