日本の女子教育の礎を築いた女性たちの人生を丁寧に描いた大河小説。主人公の河合道と渡辺ゆりのことは、この本を手に取るまで恥ずかしながら知らなかった。けれど、読み進めるうちに、若き日の平塚らいてうや市川房枝、さらには村岡花子や柳原白蓮、もちろん津田梅子も…といった名だたる女性たちが次々に登場し、物語にぐいぐい引き込まれていった。意外な発見だったのは、新渡戸稲造だ。教科書で知っていた歴史上の人物としてではなく、若き日の道に影響を与える進歩的で魅力的な存在として描かれていて、いろいろと新鮮だった。小説としては、柚木麻子さんの作品にしばしば感じる鋭い切っ先のようなものは少し影を潜めている。けれど、その代わりといってはなんだけど、テーマと真摯に向き合う姿勢と丁寧さが作品の強度となっていて、読み終えたときにはなんとも言えない重みが残った。





