ほんだながわり -7ページ目

ほんだながわり

「読んだり、観たり、行ったり」だけは、何だかやりっぱなしじゃいけないような気がしたもので…。

シジュウカラの言葉がわかるという東大准教授。彼のことはこれまでまったく知らなかったので、最初は比喩としての“わかる”だと思っていたら、まさかまさか、本当にわかる人だったので驚いた。40歳になったばかりで、動物言語学分野を専門とする世界で初めての研究室を立ちあげるとか、すごすぎるのだけれど、文章はもう少しなんていうか、ブルーバックスとかにありそうなトーンなんかだと、もう少し最初から入り込みやすかったのかもしれない。でもまあ、本当に面白かったのでオススメ。

 

 

 

鈴木結生さんによる芥川賞受賞作。21世紀生まれの作家さんらしい。とにかく本をたくさん読んでいる人なんだろうなというのが最初に浮かんだ感想だ。ティーバッグのタグに書かれたゲーテの言葉の出典がわからず、研究者の父が調べだす…という物語のはじまりだが、どうやら作者の実体験がもとになっているらしい。それはそうと、生成AIの登場以降、文章を書くということに対してなんだかいい加減になっていたかもなと、考えさせられる作品だった。

 

 

岩井圭也さん(『われは熊楠』で知られる)による、北海道大学を舞台にした連作短編小説。大学の創立150周年を記念して書かれたという。北大に憧れる受験生や、卒業生なんかが読んで楽しいと思えるような作品だとは思うけど、短くよくまとまっていて、北大と特に関係のない自分も面白く読めた。出版ではなく書店での配布という形だが、続きがまた出るらしいので楽しみだ

 

 

日本の女子教育の礎を築いた女性たちの人生を丁寧に描いた大河小説。主人公の河合道と渡辺ゆりのことは、この本を手に取るまで恥ずかしながら知らなかった。けれど、読み進めるうちに、若き日の平塚らいてうや市川房枝、さらには村岡花子や柳原白蓮、もちろん津田梅子も…といった名だたる女性たちが次々に登場し、物語にぐいぐい引き込まれていった。意外な発見だったのは、新渡戸稲造だ。教科書で知っていた歴史上の人物としてではなく、若き日の道に影響を与える進歩的で魅力的な存在として描かれていて、いろいろと新鮮だった。小説としては、柚木麻子さんの作品にしばしば感じる鋭い切っ先のようなものは少し影を潜めている。けれど、その代わりといってはなんだけど、テーマと真摯に向き合う姿勢と丁寧さが作品の強度となっていて、読み終えたときにはなんとも言えない重みが残った。