1.便秘、そして・・・
夜ごはん、海は食欲がなかった。
「ごちそうさま。」
「海、全然食べてないけど、体調悪いのか?」
悠一は海の顔をのぞき込み、心配そうに聞いてきた。
「ううん、大丈夫。」
海が首を振ると、悠一は海のおでこに手を当てて、
「熱はなさそうだな。おまえ、毎日ちゃんとウンコしてるか?」
「な、なに言うの、突然・・・。」
明らかに動揺して、あたふたしている海を見て、
“最近、肌が荒れてる感じだし、朝、トイレに入っている気配はないし・・・。”
悠一は、「海は便秘症だ」という、楓の話を思い出していた。
「海、ちょっとこっち来い。」
悠一が手招きをしたが、海は
「えっ、いいよ、大丈夫。」
と、拒否して後ずさりした。
「大丈夫じゃないから言ってるんだ。早く来い。」
グズグズしている海の手を無理やり引っ張って、
「そこに寝ろ。」
とソファを指さした。
「だから、いいってばー。」
「よくない!」
だんだんと悠一の口調がきつくなってきて、イライラ感が増してきた。
海は仕方なく、ソファにうつ伏せになった。
「バカ、お腹触るんだから、あお向けだろ。」
お尻をペシンと叩かれた。Tシャツをブラジャーが見えるくらいまでめくられて、お腹を出せれ、おまけに履いていたスウェットのズボンとパンツも、際どいところまで下げられてしまった。
「お兄ちゃん、空いるからやだ。」
と言うと、
「空、食べ終わったら、風呂入って来い。」
空もこの場にいるのをためらっていたようで、さっさと洗面所に向かった。
悠一の大きな手で、お腹全体をグルグル触ったり、ギューっと押したり、いつもの家にいるお兄ちゃんではなく、病院で診察しているときのお医者さんの顔になっていた。その表情がだんだんと険しく変化して、
「おまえ、何日出てない?」
「えっ?何が?」
「ウンコだよ、ウンコ!」
「えっ、出てるけど・・・。」
「うそつけ!最後に出たのはいつだ?」
「昨日。」
と言ったら、太ももをペシンッと叩かれて、にらみつけられた。
「本当はいつだ?白状しろっ!」
“絶対に言ったら怒られる・・・。”
と思うものの、言わざるを得ない状況に追い込まれ、
「えっと・・・、1週間ぐらい前、かな?」
「だろうな。すごくたくさんウンコ溜まってるぞ。しかも硬くてカチカチになってるから、何とか手を打たないとな。」
“そんな・・・。”
なんだかすごく怖いことを言われた気がした。
「大丈夫、頑張るから。」
「頑張っても、これじゃあ出ないだろう。無理すると、お尻の穴、切れちゃうぞ。」
「ええっ・・・。」
「ということで・・・。はい、そこでお尻出して待ってろ。」
海には悠一が考えていることが分かってしまい、
「えー、やだ!浣腸しないっ!」
と叫んで、ソファから飛び降りた。
「ダメだ!用意してくるから、おとなしくしてろ。」
「絶対やだ!絶対絶対絶対にやだー!」
「じゃあ、このままずっと出なくて、どんどんお腹が痛くなって、食欲もなくなって、それでもいいのか?今、何とかした方が絶対に楽だぞ。」
“自分でも、それはよく分かってる。今でも、かなり辛いから・・・。でもこのままじゃ、浣腸されちゃうよー。”
小さいころママに一度されたことがある。あまりよく覚えてないけど、すごくお腹が痛かったことと、子供心に母親にでさえ、お尻の穴を見られる恥ずかしさを感じていたことは覚えている。
“そうだ!トイレに逃げ込んで、鍵かけちゃえばいいんだ。”
リビングの隣の和室で、ゴソゴソと準備をしている悠一に気づかれないように、こっそりと廊下に出てトイレに入りドアを閉めようとした瞬間、そのドアの隙間に足を挟まれてしまった。恐る恐る顔を上げると、怖い顔をしてにらみつけている悠一と目が合った。
もうダメだ・・・。絶体絶命・・・。
「手間かけさせるなっ!ったく、さっさと出て来て、お尻出しなさい!」
きっぱりと言われ、もう逆らえる雰囲気はみじんも残されていなかった。
「お兄ちゃん、お願い、海の部屋でして。空に見られちゃう・・・。」
2人は2階の海の部屋へ移動した。
「はい、パンツ下ろして。自分でできるよな?それとも兄ちゃんが脱がそうか?」
「もうっ!自分でするもん。」
そう言ったものの、
「お兄ちゃん、どうしても浣腸しなきゃダメ?」
「ああ。」
「もう1日だけ待てないよね?」
「ああ。」
最後のあがきでグズグズと時間を伸ばしていると、イラついた悠一の顔が目に飛び込んできた。
「往生際悪いぞ。」
冷たく言い放たれ、
「はいはい、分かりました。お尻出せばいいんでしょ・・・。」
スウェットをのろのろと下ろそうとしていると、しびれを切らした悠一の手がスウェットのゴムにかかり、パンツごとグイッと一気に下げられてお尻が丸出しになった。
背中を押されてベッドに四つん這いに倒され、腰を押さえつけられてしまったので、もはや身動きがまったく取れない。
「ほら、ちゃんとお尻突き出して。」
「恥ずかしい・・・。」
という言葉もむなしく、
「バーカ、ガキのくせに。」
と言って、お尻の穴に容器を差し込まれ薬を注入された。
お尻からお腹の辺りがムニューっとして、すごく気持ち悪い。すぐにトイレに行こうと立ち上がると、
「まだダメだ。少し我慢しろ。」
「えー、無理だよー。」
「その前に出したら、もう一回やるからな!」
“そんなのもっと無理・・・。”
お腹の中がグルグルと大変なことになっているというのに、悠一が海の前に立ちはだかってめっぱっているので、耐えるしかない状況だ。
“あー、もう限界!”
やっと、「いいぞ。」と言われてトイレに駆け込み、便座に座った途端、ババババババー ‼‼
“うっ、お腹痛ーい・・・。”
ウンチが出てからもお腹の痛みは治まらず、冷や汗をかきながら耐え忍んだ。
しばらくして、だいぶ落ち着いてきたころ、トントンとドアがノックされた。
「海、大丈夫か?ウンコ、いっぱい出たか?」
「う、うん・・・。すっきりした。」
「じゃあ流さないで、オレに見せろ。」
「えーっ、お兄ちゃん、何言ってんの!」
“そんなの絶対に嫌だ!”
「どのくらい出たか確認するからな。」
“嫌だ!バッカじゃないの!”
「おい、返事は?」
何も聞こえないふりをして、ジャーっとレバーをひねった。
「おまえなぁ。さっさと出て来い。言うこと聞けない悪い子には、おしおきだからなっ!」
“そんなこと言われたら、トイレから出れないじゃん。”
10分ほどトイレに立てこもり、静かにドアを開け部屋に逃げ込もうとしたら、後ろから肩をガッチリ押さえられてベッドの上へ連行された。
「お兄ちゃん、海、まだお腹痛いから、今日は許して。」
「流すな、って言ったのに、流しやがって。」
「だって、見られるのやだもん。恥ずかしすぎる・・・。」
「気持ちは分かるけどな。まだお腹の中に固いのが残ってるかもしれないだろ。」
ベッドにあお向けに寝かされ、再びお腹を触られて、
「まあ大丈夫そうだな。様子見るか。」
「うん。」
「あっ、でも海は自分で体調管理できないようだから、毎日オレにウンコ出たか報告な!分かったか?」
「えっ・・・、はい・・・。」
一応その場しのぎの返事をして、これで一件落着と思いきや、
「じゃあ、次、うつ伏せ。」
と言うが早いか海の体をひっくり返し、スウェットとパンツをさっと下ろしてしまった。
抵抗する間もなく、お尻が丸出しにされ、
「いろいろと手間をかけさせた分、20発な!」
と言って、左手で腰を押さえつけ、右手を振り上げた。お兄ちゃんの大きな手で叩かれると、本当にものすごく痛い。
バシン、バシン、バシン、バシン、バシン・・・・・
一定のリズムで10発叩かれて、手が止まった。
“おしまい?”
と思ったら、枕にうずめて涙でいっぱいの顔をのぞき込まれ、ニヤッと笑われた。
“そんなに楽しそうに海のお尻叩かないでよー。絶対に泣いている顔見て喜んでるでしょ・・・。”
思いっきり強がって、「ふん!」と反対側を向いたら、残りの10発、さっきより少しだけ痛くないのが
バン、バン、バン、バン、バン・・・・・
と打ち下ろされた。
「海、毎日きちんとウンコするのって、すごく大事なことなんだぞ。便秘になると、お腹が痛かったり、食欲がなくなったり、肌のトラブルを起こしたり、精神的にもストレスを感じたり、気力がなくなったり、いろんな支障が出てくるからな。海みたいに便秘がちな子は、特に気をつけて自己管理する必要があるってこと、しっかり覚えとけよ。兄ちゃん、浣腸はいつでもしてやるけど、できればそう頻繁には使わない方がいいし、おまえもされるの嫌だろ?」
優しくお尻をなでながら、こんこんと話され、海も「うん、うん」と真剣に話を聞いた。
“もう二度と浣腸なんてされたくない。だって、お兄ちゃんにお尻の穴を見られちゃうもん。恥ずかしすぎるでしょ・・・。普段おしおきされて、お尻を見られるのは少し慣れてきたけど、“お尻の穴”っていうのは、何だか特別な気がする。他人には絶対に見られたくない部分・・・。だから、ちゃんと毎日、ウンチしなきゃ。便秘になんてならないように!”
海はそう心に決め、その日からすごく気をつけて、トイレの時間を毎日とるようにしたり、野菜をいっぱい食べたり、水分をたくさん摂ったり、お腹のマッサージをしたりと、1ヶ月間、まあまあ順調にいっていた。それなのに・・・・・。