ある国の姫は国で評判なほど
とても病弱で体が弱かった。
専属の薬師がいるもののその薬師の姿はみすぼらしく
彼女の容体は一向によくなる傾向を見せない。
 
ある日、王はお触れを通達した。
その内容とは娘の病を治したものに姫を妃にしようというものだった。
 
すると、国で一番力のあるひとりの医師が現れ
彼女を診察した。
「これは、おいしいヤギのミルクとマオマオの木の根で治せる」
と言うのだ。
 
「マオマオの木?」
「えぇ、一般には万能薬といわれるのですが、美味しいヤギのミルクと混ぜないとだめなのです」
医師はもう彼女の病気は治ったかのように言った。
 
王はすぐに美味しいミルクとマオマオの木の持ち主を探した。
ミルクは山の若者に分けてもらった。
本来なら、2ヶ月待ちという人気のミルクなのだが、特別と言うカタチで。
 
問題はマオマオの根だ。
そんな根っこは見たことも聞いたこともない。
だが、意外なことに
マオマオの木は国の専属の薬師が育てていて簡単に手にする事ができた。
 
それらを与えると姫はとても元気になったのだ。
 
さて困ったのはそのあとのこと。
王は姫を誰の元へと嫁がせるか悩んだ。
 
ひとりは姫を診察してくれた他国にも名が通る力ある医師。
 
ひとりは家でとれた美味しいミルクを町へ運んでいるる陽気な若者。
 
2人ともそれぞれ次のように主張した。
「私が診察したおかげで治ったのだ。他ではマネはできない。」
「オイラノとこのミルクはうめえぞ!姫様もこれ飲んだから元気になったんだ!」
 
最後はマオマオの木を手渡した小汚い薬師。
だけど、彼は国に努めているせいか何も言わなかった。
 
「やはり、将来性を考えると・・・」
 
王が考えていると大臣が飛んで来た。
 
「王、あの木の根っこは非常に栽培が難しく育てるのが大変だと聞きました。あの薬師も全財産をかけて育てたそうですが何年もかけて育ったのはあの一本だけだったそうです。」
 
と。
 
「・・・そうか。あの薬師を呼んでまいれ」
 
「はい。」
 
薬師が呼ばれ王は事情を聞いた。

「薬師よ。おまえは姫を慕うておるか?」
 
すると、薬師は赤い顔をしながら答えた。
 
「いいえ、滅相もございません」
 
「よいよい、今はわしとお前の二人きりじゃ。あの木は非常に高価なものだと聞いたぞ?正直に話せ。」
 
「はい。私もマオマオの木が万病にきくと聞きずっと育てました。ですがなかなか育たなく、何年も月日を重ねてしまったのです。」
 
「財産を売ってか?」
 
「それが臣下としての努めでしょう?」
 
「病だったのがワシや、王妃だったとしてもお前はそうしたのか?」
 
「・・・分かりません。ですが全力は尽くしたと思います。」
 
「そうか。では、お前があのお触れの主張をしないのはなぜだ?」
 
「恥ずかしながらまさかあのようにして使うことは知りませんでした。ですから姫を救ったのは医師です。そして、今後とも姫が病に倒れたときに姫を救えるのも彼でしょう。」
 
と答えた。
王はニッコリ笑うと悩んでいた気持ちが晴れ姫を誰の元へやるか決めたようだ。
 
王が姫の元へと訪れると姫はある者に恋をしていた。
それは王が選んだ人とは別の人。
王は残念そうに王妃に語ったらこう返された。
 
「これだから貴方は女が分かってないのですね。
彼女の将来を考えてご覧なさい。彼には力もあるし。きっと幸せになりますよ。
それに彼は『水やり係』とは違いずっと傍にいたのですよ。
貴方は姫のことを想っていないのですか?そんなあなたの言う破滅型と結び付けようとするなんて。」
 
と。
 
 
 
 
*さて、あなたが姫なら誰の元へ行きたいだろうか・・・。*

広い広い公園の真ん中に桜の木が一本。

淡い風は、まるで粉雪のように花を散らせ甘い香りを運ぶ。

 

「ここは、近所の公園・・・?」

 

そうつぶやきながら、葵は目覚めた。

 

「あの場所には桜なんて生えてないのに・・・」

 

見上げるほどの大きな木。

夢にあった大きな木があった場所は葵が小学生だった頃よく通った桜の木に囲まれた小さな公園。

家から徒歩10分もかからない場所だと言うのに、なかなか訪れる機会はなく

今、どうなっているのかよく知らない。

 

「仕事の帰りにでも、立ち寄ってみようかしら?」

 

ちょっとだけ今その公園がどうなっているのか気になった。

 

「あ、遅刻する!!」

 

葵は急いで飛び出し、部屋を後にした。

 

その帰り道。彼女は朝見た夢のことなんてすっかり忘れていて、

クタクタになり車を走らせながらの帰宅。残業は夜中まで続き、彼女は疲れきっていた。

その上・・・

 

「また、工事中?」

 

夜も遅くなると、昼間工事できない鬱憤を晴らすかのように夜は通行止めが多い。

何度も回り道をしなければならなくイライラも重なる。

 

「あれ、そういえば・・・」

 

たまたま、回り道、回り道で誘導されて行き着いた場所はあの公園の近く。

今朝の夢のことを思い出した彼女はせっかくの機会だからと、車を止めあの公園のそばへと寄った。

 

公園はもう十数年経つというのに変わりばえはなく、

あえて言うなら、遊具がひとつ撤去されていた。

 

残念ながら秋口で、枯れきった桜の木を眺める事はできるものの花を見ることはできない。

入り口の壁は割れていて、幼い頃はよく石を詰めたりして遊んだものだが、今見ると

活気がなく、放置された年寄りのようだ。

 

「こんなに、狭かったかしら・・・。」

 

遊具がひとつへって広くなっているはずなのに

公園で幼い頃感じた開放感はない。

それどころか堅苦しい上、夜風が冷たく背筋が冷える。

 

夢で見た公園の真ん中へと彼女は進もうとすると、

看板が立てかけてあった。

 

『工事中回り道』

 

冷たく横たわる看板はモノを言わない人が描かれていてなんだか寂しい。

 

彼女は夢で見た公園の真ん中へと進んだ。

足取りは昔ほど軽快ではない。

久しぶりに会った同級生が他人に感じるのと同じで、遠慮がちな歩き方。

 

真ん中は何もない、ただのグランドの土があるばかり。

彼女はしゃがみこみぼんやりと公園を一周眺め空を見た。

目が夜になじんでくると公園の雰囲気が懐かしいものに変わってゆく

夜風がそよそよと、ふいていてなんだか気持ちが良い。

 

ふと、足元を見ると桜の花びらが一枚転がっていた。

貧しい男がいた。

男はカネモチになって幸せになりたかった。

 

ある日、男は森できのこを採っていた。

そこは中央には泉があり狸や蛇が住まう森で

逸話だと、この森で愛を誓う時には白い蛇が現れ2人の恋が叶うおまじないをかけてくれるのだそうだ。

 

だけど、男にとって見れば、豊富な食料元。

森できのこを採っていると森の泉でおぼれている女性を見つけた。

 

「た、たすけて。」

 

男はすぐさま女を助け、女の顔を見ると、

それは、村で一番カネモチの富豪の娘で、そこそこの美人だった。

 

男と女は恋に落ちた。

 

「私は、あなたの事を知らないのにどうしてあなたはそんなに親切なの?」

 

「それは、私があなたを愛しているからですよ」

 

彼らは出会ったその場所で

いつも、愛を語り合った。

 

しばらくすると、彼のきのこ採取が街で評価されるようになった。

新しい街で商売をしに男は村を出る事を女に伝える。

 

「私のあなたへのキモチは変わりません。」

 

そう言うと、女は

 

「では、誓いましょう」

 

そう言うと、2人は、森の真ん中へと向かっていった。

証人は森の狸や蛇。

 

2人が将来を誓おうとすると、蛇が急に現れた。

そこにいた蛇が言うのだ。

  

『不純な動機ではじまった恋はその動機が消えたら、忘れてしまうぞ?』

 

男はぎょっとしたが、

「いえ、わたしは誠実に彼女を想っております」

と言い返しこの蛇の前で将来を誓った。

 

蛇はこういう、

「私はあなた達よりも長生きだからきっと見ています」

そして2人におまじないをすると去っていってしまった。

 

 

街へ出た男は汗水と働いた。

そして村で一番の富豪よりもカネモチとなり、別の女と結婚した。

時間がたつにつれ誓いをすっかりと忘れてしまっていた。

子どもが何人も生まれ男は幸せになった。

 

何年もし、息子が男が村を出たくらいの年にもなると

「私は、アノ街の彼女と将来を・・・」

と言い、

ひとりの息子が家を出た。

 

すると、男は森で誓った約束を思い出した。

 

久しぶりに森へと赴き

気になった男は村のものに

女はの所在を聞くと、

年はとっているもののずっと彼を待っているままだった。

 

男は、苦しんだ。

 

女は待つのをやめないし、男には男の生活がある。

 

そんな時、白い蛇が現れた。

 

男は白蛇にこう。

 

「どうか、あの女の妄想を止めてください。私にはどうする事もできません。」

 

と。

 

「私は、ただの証人ですよ。」