クリのクリのクリの木、クルリルリ。

クリクリクリッとクリリリルル。

 

クリクリクリリリクリリリリ。

クルリクルリとクルリルリ。

 

ルリルリルリリのルリリリリリ。

リリはリリリリクルリルリ。

 

ルリクリクルリクルクルリルリ。

クリのルルルルリリリルル。

 

ルリのリリルルリリルルル

リルのルリルルルルリルリ

ルリナナニルリルリナリナ

 

リリルルリルリルルリルリ

リクルルルクルクルリルリ

 

ルリルリルリクルリクリ。

昔々あるところに、しがいない売れない芸人がひとりおったそうじゃ。

彼の芸は誰にも真似できない裸踊り。

練習すれば誰でもできそうじゃったが彼も芸人。

誰にも真似する事ができなんだ。

 

ある時、こやつを売れさせようとこれまた貧相な劇団長がやってきてこう言った。

 

「オイ芸人。ぜひともうちに来てくれんか?ウチには稽古場もあるし、沢山の技術者もいる。」

 

熱心に団長に誘われた芸人は劇団に努める事にした。

監督兼管理者ひとり。舞台掃除ひとり。舞台技術者ふたり。広報4人。総合司会ひとり。芸人ひとり。

総勢10人の小さな小さな劇場じゃ。客はそんなにおらんかった。

 

この売れない芸人が入ったおかげで劇団は少しだけ大きくなった。

売れなかった芸人も劇団員の助けで稼げるようになり喜び、騒いでおった。

 

芸人が稼いだお金はきっちり10等分。

じゃが、ある時から芸人は不満に思っておった。

 

「俺が稼いだお金なのに。俺のおかげなのに。」

 

団長は芸人に言うた。

 

「あなたと一緒に何人働いていますか?」

 

芸人の芸は芸人のものだけど

舞台はみんなで作っているんだ。

団長の言い分はもっともな話じゃ。

 

すると芸人はこう返した。

 

「お前らは芸人が売れようが売れまいがきっちり10等分だよな。している仕事は変わらないのに俺の担当の時だけ沢山給料をもらえるんだぞ?おかしくないか?」

 

「そう思いますか?」

 

「俺はお前らがいなくても売れることができたんだよ。」

子どもの頃、僕は仮面ライダーが本当にいる存在だって思ってた。

父さんはそんな僕をみて遊園地へ行く時こういってくれた。

 

「雅夫!遊園地に行くぞ!仮面ライダーショーしてるからさ。行こうよ。」

 

「え~?」

 

ショーは嫌いだった。

 

「何で?」

 

父さんがせっかく行こう!なんて言うのに僕は行きたくない。だって・・・。

 

「だって、偽者だもん!」

 

昔、どこかで見たり聞いたりした経験がそう思わせていたのかもしれない。

話がおかしいって。

 

「えぇ?せっかく遊園地に思っていたのになあ・・・?楽しいぞぉ?」

 

なんだかんだ言って子どものご機嫌をとる父。

普段子どもとの会話がないものだから

ついついモノでつる作戦に偏りがち。

 

すると・・・。母さんが

 

「ウダウダ言ってないでいくぞ~」

 

きーきー声で子どもを拉致。

半分べそかきながら遊園地へと出かけるのだ。

 

遊園地ではとりあえず、予定通りショーに行く。

 

なぜか、知らないおばさんが司会をしていて

見覚えあるデザインの怪人がウロウロするもののホンモノがいない。

 

『あんれぇタスケテェ・・・』

 

どこぞのおばさんが主人公。

これがTVで流れてたらDVD見だすだろう。

 

「ねぇ・・・お父さん。早く行こうよ」

「もう少し待っててな。」

 

すると、怪人が会場までウロウロしだし子どもたちをさらってゆく。

ビービ泣く子どもたち。

 

「これは偽者だから怖くない。怖くないもん!」

なんて言いながらも目は正直で泣きそうだった。

 

散々文句を言いつつも

ショーが終わった。

 

「ハハン。全然怖くなかったモンね~!」

 

よく聞くセリフを残し遊園地から帰った。

 

 

家に帰ると僕はDVDを見だした。

ショーは偽者だったからホンモノを見ようというわけだ。

 

「やっぱりジョーはいいなぁ。変身!ってかっこいいもん!」

 

すると父が僕に向かって言う。

 

「オイ雅夫!今ジョーがTV出てるぞ?」 

「えぇ?」

 

すぐさま、DVDを止めTVを見だした。

TVは今まで僕が見たことのないトーク番組で、

ジョーが出てくるとあってか変身を期待しTVに釘付けだった。

 

『子どもたちに大人気。仮面ライダーのジョー役の水野さんです。』

 

パチパチパチ

TVからは拍手が。


「ミズノ?ジョーじゃないの?」

 

父さんに聞くと

 

「芸名だな」

 

だって。 

 

『水野さんですどうですか?子どもたちに会ったら『変身して』とか言われませんか?』

 

『ははっ。言われますよ。でもそのときは変身パワーがないとか言って誤魔化すんです。』

 

『でも、しつこいお子さんもいるでしょう?』

 

『いましたねぇ。そんなときはカメラが回ってないと・・・って言ったんです』

 

『えぇ?お子様にかミングアウト?』

 

『多分お互いに分かっているんじゃないでしょうかねぇ?』

 


「雅夫?どうした?」

 

 

「・・・・。こんなの。こんなのジョーじゃないやい!!」

 

 

父さんの親切は大体アダになる。

このとき僕は少しだけ大人になったんだと思う。