「博士!ついに商品化できました!」

 

「何?真か?」

 

「えぇ、目に入れると溶けてゆくコンタクト!成分は目薬です!これでアレルギー対策もばっちりです!」

 

「苦節ウン年。ついについに。ヨヨヨヨヨ・・・。」

 

「キヤッチフレーズはどういたしましょう?」

 

「決まっているではないか!」

 

「それは?」

 

「手入れしなくても良いコンタクト!!」

僕は彼女に恋をした。

 

彼女は今年沼にやってきた鶴。

 

ほっそりとした体にくちばし。赤く情熱的な頭。

色白で美しい。

 

僕は彼女に近づき友達になった。

 

「こっちの川のほうがおいしい餌が取れるんだよ!!」

 

そう彼女を誘い、一緒に川へと繰り出した。

彼女は

 

「おいしい。ありがとう!」

 

なんて、喜んでいたっけ。

 

でも、僕らの恋は目がだて来た頃につむがれた。

春がやってくる。

 

彼女は、もう行かなくてはならない。

 

「僕。僕さ。ずっと、ずっと待ってるから。君のことを心から待っているから。」

 

鶴は来年帰ってくると言い残し

僕は待った。

 

翌年にも、寒い寒い時期がやってくる。

彼女もきっと

あのとびきりの笑顔でやってくる。

 

 

鶴は子どもと旦那を連れて帰ってきた。

ショックだった。

ずっと、待ち焦がれていたのに。

こんな結果になるなんて。

 

 

「だってあなた、鴨じゃない?」

 

 

彼女は家族と幸せに過ごしている。

『オイ、健介!準備はいいか?』

 

「はいっ!団長!ばっっチリです!!」

 

『行くぞ~』

 

はいっ!

 

「ドドッ!」

 

『スコスコスコ』

 

「よよ。」

 

『スコスコスコ』

 

「えぇ?」

 

『スコスコスコ』

 

「待て。」

 

『スコスコスコ』

 

「オイ!」

 

『スコスコスコ』

 

「なぁ。」

 

『スコスコスコ』

 

「オイ!」

 

『スコスコスコ』

 

「なぁ」

 

『スコスコスコ』

 

「聞け!」

 

『スコスコスコ』

 

「こら!」

 

『スコスコスコ』

 

「聞けぇ!!」

 

『スコスコスコ』

 

『スコスコスコ』

 

『スコスコスコ』

 

「・・・・。」

 

『なんスか?先輩?』

 

「空気入れにちゃんはめろよ!漏れてるだろ!」

 

 

 

*効果音は自分のお口で再現してみてください。スコスコスコを音読すると楽しいかもしれません*