僕は彼女に恋をした。

 

彼女は今年沼にやってきた鶴。

 

ほっそりとした体にくちばし。赤く情熱的な頭。

色白で美しい。

 

僕は彼女に近づき友達になった。

 

「こっちの川のほうがおいしい餌が取れるんだよ!!」

 

そう彼女を誘い、一緒に川へと繰り出した。

彼女は

 

「おいしい。ありがとう!」

 

なんて、喜んでいたっけ。

 

でも、僕らの恋は目がだて来た頃につむがれた。

春がやってくる。

 

彼女は、もう行かなくてはならない。

 

「僕。僕さ。ずっと、ずっと待ってるから。君のことを心から待っているから。」

 

鶴は来年帰ってくると言い残し

僕は待った。

 

翌年にも、寒い寒い時期がやってくる。

彼女もきっと

あのとびきりの笑顔でやってくる。

 

 

鶴は子どもと旦那を連れて帰ってきた。

ショックだった。

ずっと、待ち焦がれていたのに。

こんな結果になるなんて。

 

 

「だってあなた、鴨じゃない?」

 

 

彼女は家族と幸せに過ごしている。