みかんの皮をむいた

みかんの皮をむいた


僕はそれを一口で食べた


みかんの皮をむくと

みかんの皮をむくと 

 

僕はそれを一口で食べた

 

きれいにむけた

きれいにむけた


僕はそれを一口で食べた

 

すじは取らない

すじは取らない


僕はそれを一口で食べた


みかんの皮をむいた

みかんの皮をむいた


僕はそれを一口で食べた


みかんの皮むくと

みかんの皮むくと

僕はそれを一口で食べた

どんどんむいた

どんどんむいた


僕はそれを一口で食べた


ちょっと残ってる

ちょっと残ってる


僕はそれを一口で食べた


みかんの皮をむいた

みかんの皮をむいた


僕はそれを一口で食べた

みかんの皮むくと

みかんの皮むくと

僕はそれを一口で食べた


皮むいた

皮むいた


大胆にむいた

 

そろそろおなかいっぱい

時計がとまった。ストライキだろうか?

 

ここ数年、私の手元にはよく気を損ねる時計がいる。

本当は時計としては使えないのだけど。

彼は、よくやっている方だ。

街の小さな骨董品屋で

私は彼に出会った。

 

小さな小さな懐中時計で900$もするものだったが

よく手になじむものであったことが買ってしまった大きな要因だろう。

 

「お客さん。本当はそれ売れないんだけど、お客さんなら一番よく似合うから」

 

なんてうまいこと乗せられてしまったのは秘密だ。

 

そんな帰り道、後ろから追いかけてくる女性が一人。

 

息を切らして

 

「お待ちください」

 

と、私を呼びとめた。

 

「はい?」

 

振り返ると、そこにいた人は店員ではなく、街の女性だった。

 

「その、時計どうか譲ってはくれませんか。」

 

そう、必死に頼んできた。

 

その時計は彼女の祖父の形見らしく

大切に保管していたらしいが部屋を整理する際

母親が処分してしまったものなのだそうだ。

「お代は必ずお支払いいたしますから」

 

そう言っている彼女の手にはたくさんの10$札が。

 

「いえ、そんな大切なものならばお譲りいたしますよ。」

 

私はそう言うと彼女の手の上に置いた。

 

「あの、お代・・・」

 

私は首を振る。

 

「いいえ、結構ですよ。良い話を聞かせてもらったお礼です。」

 

彼女に背を向け帰ろうとしたとき彼女は言った。

 

「でしたら、せめて一緒に夕食でもどうですか?」

 

 

 

それから月日は流れ

あの時計はまた、私の元へとやってきた。

 

「お父さん、なんでそんな動かない時計いつまでも持っているのさ?」

 

「これかい?これはね、ジョンのひいおじいさんからの贈り物なんだよ。」

翌朝、目覚めるとすぐにテレビをつけた。

 

イタリアの空気は乾いていたな

そんなことを思い出しながらのどをさすり

ぼんやりと国内ニュースを眺めていた。


 

「ふぁぁぁぁ。」


 

大きなあくびをして

また寝っころがって。寝返りを打って。

 

新しく得たダブルベットの寝心地は感想がないくらいよいものだった。


 

ぼうっとした頭に注がれる奇妙な幸福感。

まるで、子どものように大胆に寝返った。


 

大胆・・・?


 

あれ?


 

ダブルベットって一人用?

 

はっとして目覚めた。

 

昨日の最後に隣で

おやすみと

言った彼はいない。

 

「・・・?」

 

答えに迷っていると気のせいかトーストとコーヒーの

香ばしい香りがしてくる。


 

扉を開けその匂いのするほうへ誘われていった。

 

「おはよう。いっぱいどう?」


 

そう言ってパジャマ姿の彼がコーヒーを差し出す。

 

ほっとため息をつくような

吐きれない温かみが残るようなそんな安心。

 

「もらう。」

 

苦い味のブラック。

本当に苦い。

 

彼は私の頭を軽くなでた。

 


「朝食、パンで良いか?」

 

目は彼の顔を見ようとしたけれど手で隠れて見えない。

笑っているのか。それとも。


 

「・・・実感。ないね?」

 

ポツリとそうつぶやくと、

彼はきょとんとした顔で私を見る。


 

「忙しかったからな。」