4月
稲羽市 孤児院
春になったら花の蜜を吸いにいこう
指を伸ばすと蔓が巻き付いて返事してくれるから
夏になったらクワガタとザリガニを採りにいこう
虫網も釣り糸も要らない 行きたい時に逢えるから
秋になったら栗や銀杏を拾いにいこう
虫なんてついてない 食べれる実を落としてくれるから
冬になったら帽子を空に広げよう
舞う雪が集まってくれるから
伊奈利 天児
「メシア様 これは?」
「ん? ああ それは小学生の頃の作文だね」
「流石はメシア様♪ アリスと同じでとーーーっても繊細な子供だったんですね!」
「どうも 俺は都会にいてね 風景の様変わりに寂しくて書いたんだっけ」
「でも こっちはまだ作文のようですね」
「うん ここに引っ越してきて 当たりだった」
「やっぱりメシア様は純粋で無苦なる天使だったのですね」
「無苦? 無垢じゃなくて?」
「はい 大人は本ばかり読んで真実を知ろうとし 退屈な行法や面倒なイニシエーションを重視してます」
「なんだか難しい事を言うね確かに子供の頃は星占いも知らなければそんな本も無縁だったね」
「自然が学校で 赴くまま 思うがままが魂の成長ですから(=⌒▽⌒=)」
「そうだったかも・・・ そうだ 春だし 花見でも行くかい?」
「アリスはここが一番好きなんです(‐^▽^‐)」
「そういうえばそうだったね じゃあ 今度 花でも摘んでくるよ」
「わあ 楽しみにしてます メシア様」
つづく