田原桂一「OPÉRA de PARIS」 | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 ガルニエ宮と呼ばれる、パリ・オペラ座。建物自体が芸術品で、逆立ちしたって他の劇場はかないません。劇場と言う箱がここまで主役になれるなんて他に聞いたことがありません。田原桂一がフランス政府の依頼により1987年より撮影期間8年間をかけてパリのオペラ座を撮影。オペラ座を表現する大判写真集「OPÉRA de PARIS」は、「ARCHITECTURE(建築)」、「COSTUMES(衣装)」、「BIJOUX(宝飾)」、「MAQUETTES(舞台美術)」の4冊からなる、まるでワーグナーの「ニーベルングの指環」のような写真集です!

 

 

 ポーラ ミュージアム アネックスという小さな空間なので、展示されているのは前550点の作品の中の1割にも満たない30作品のみ。でも「OPÉRA de PARIS」全4冊(1冊1冊がまるで舞台の小道具ですかって位巨大)が自由に鑑賞できるように設置されているんです。これは感動もの。通常、この手のものはガラスケースに入れられていて、好きなページを見るなんてできませんから!

 

 

 現在、ガルニエ宮はパリ・オペラ座バレエ団によるバレエがメインに上演される劇場で、オペラはバスチーユの巨大な劇場に行ってるんですが、馬蹄型劇場の宿命として、バレエを観るにはかなり見づらい劇場なんです。平土間は段差がなくて前の人が邪魔だし、サイド席なんて東京文化会館のLブロッグやRブロックはおろか、新国のZ席も真っ青な見切れっぷりなんですから!

 

 

 とはいえ、もはやここは劇場が主役なので、それはそれで良いのではないかと思えてくるんです。桟敷席の見切れ部分にはソファなんかも設置されていて、もはやオペラを観ようなんて思ってない人たちの部屋だったりしますから。そして、写真だとわかりにくいのですが、客席の椅子が飛行機のファーストクラスとかエコノミー席ばりに差がありまして、豪華さもゆったり具合も様ざま。

 

 

 ローマの遺跡はあちこち破損していますが、パリ・オペラ座は現役として今なお美しい姿を残しています。ナポレオン・ボナパルトの偉業の一つです!!! こんな贅沢三昧な劇場、もう二度と作れないとでしょう。

 

 ミュージカル「オペラ座の怪人」はオペラ座を日生劇場に再現、なんて宣伝していましたが、なんておこがましいこと! スケールといい、美術品の数々といい、意匠といい、まーったく違唯います。そんな空間に負けずに存在するには、舞台装置も舞台衣装も大劇場仕様だし、観客だってオペラ座ロビーを闊歩するのにふさわしいドレスも必要だし、所作だって奥ゆかしいものではなく雄々しくなくてはなりません! この写真集は8年もの歳月をかけて、オペラ座の衣装の数々や装飾品を着用したマネキンがオペラ座のあちこち(それこそ屋上から舞台裏、客席にロビーまで)に鎮座しているものが撮影されているのですが、オペラ座だからこそできた一大企画。歌舞伎座も真っ青です。

 

 

 圧巻だったのはちょっとオペラ座をイメージさせる深紅のカーテンで区切られた映像コーナーで上映されていた動画。撮影風景でもなく、何か解説があるわけでなく、オペラ座のあちこちにオペラやバレエの衣装を身に着けたマネキンや、舞台衣装の一つでもあるアクセサリーたちが存在しているだけなんですが、これがものすごい映像美。ビックカメラあたりのテレビ売り場あたりで放送していそうな鮮やかな映像たちです。たまたまyoutubeでこの動画を見かけたので、リンクを張っておきますね。よろしかったらご覧ください。これを開場の巨大スクリーンで見ると、ホント、凄いんですから! TPOはかくして形成されるのです!!!

 

 

 

 

 

 

田原桂一「OPÉRA de PARIS」

【会場】
ポーラ ミュージアム アネックス

【会期】
2024年6月21日~7月28日

【休館日】
会期中無休

【開館時間】
11:00~19:00 ※入場は閉館の30分前まで

【料金】
無料

【公式サイト】
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/