バレエ・アステラス 2024@新国立劇場オペラパレス | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 海外で活躍する日本人ダンサーたち(一部例外あり)が新国に集結。何年も「観たい」と思いながらスケジュールが合わなかった公演ですが、今年ようやく観られました。主役だけど若手からベテランまでというのがポイント!

 

 ガラ公演なので舞台には主役しかいません。とはいえ、キャリアはそれぞれ異なるので、まだギラギラしているダンサー、若さと勢いが際立っているダンサー、はたまた風格を備えたダンサーが入り乱れ。ジャンプが得意な人、空中での静止が得意な人、細かな動きが得意な人、バランス感覚に優れた人などなど、それぞれが自分の魅せ方を持っているダンサーたちが、各作品のクライマックスを演じるのですから、面白いったらありゃしない。主役ダンサーの後に踊るのって、通常のバレエ公演だと、オペラでいうとシャーベットアリアのような、個人的には「要らないなぁ」という場面が必ずあるものですが、瞬時に自分色に舞台を変えられてしまうのですから時間がたつのがあっという間。

 

 どの場面もどのダンサーも見どころがあって最高でしたが、個人的に特に印象に残ったのは『The Prejudice』を踊ったアン・セウォンの身体能力(特に柔軟性)、『ラプソディ』と『マノン』で全く違う世界観を踊り分けたアリーナ・コジョカル (別格ダンサーですけどね)と吉山シャール ルイ、新国から参加し『眠れる森の美女』を踊った柴山紗帆と井澤 駿は優雅さと風格のある見事なステージング(彼らも別格)。でもって、第2部はさらに面白く、『ハムレット』を踊った鈴木里依香・住友拓也の甘さを排したクールさとキレッキレな動き、全幕では観たことがないけれど(今回が日本初演)『デンジャラス・リエゾンズ』でドラマティックな緊張感で盛り上げた吉田合々香とジョール・ウォールナーにノックアウトされたのでした。

 

 バレエに関しても、他の同じく格好良いダンサー、ドラマ性があって濃厚な空気感で盛り上げる作品に私は惹かれます。そして、振付も、マクミラン、スカーレットといったイギリス系が飽きません。私の場合、バレエであってもストーリー性があるものが好きなんです。

 

 客席は空席が多かったけれど、若い子が目立ちました。今の子たちは学校でダンスの授業はあるし、バレエブームも相まって習っている(と姿勢と所作でわかる)子が多いのもあるのかな。この点、オペラは学校では無縁なマニアックなジャンルということもあってか、若者なんてほとんど見かけませんもの。学校教育で音楽や美術を取り上げる意味があるのか、なんて議論がありますが、文化を育てていくには、小さいころの教育や体験が大切、だと思った午後でした。

 

指揮:井田勝大
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

第1部
『Une Promenade』
振付:キム・ヨンゴル
音楽:フレデリック・ショパン
出演:キム・ジヨン(元韓国国立バレエ団プリンシパル)、チョン・ミンチョル(韓国芸術総合学校バレエアカデミー)
ピアノ演奏:シン・ジェミン

『The Prejudice』
振付:キム・ヨンゴル
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:アン・セウォン(韓国芸術総合学校バレエアカデミー卒業生)
ピアノ演奏:シン・ジェミン

韓国芸術総合学校バレエアカデミーの出演者のうち、イ・ユンジュ、イ・イェウン、イ・ジュンスが都合により降板し、代わりに『Une Promenade』にキム・ジヨン(元韓国国立バレエ団プリンシパル)、『The Prejudice』にアン・セウォン(韓国芸術総合学校バレエアカデミー卒業生)が出演いたします。なお、イ・ジュンス出演の『グラン・パ・クラシック』よりヴァリエーションは上演を取りやめることとなりました。

『海賊』第1幕より奴隷のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:オルデンブルク公
出演:升本結花 (フィンランド国立バレエ団)、有水俊介 (フィンランド国立バレエ団)

『ロメオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ
振付:デヴィッド・ドウソン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
出演:綱木彩葉 (ドレスデン国立歌劇場バレエ)、ジョセフ・グレイ (ドレスデン国立歌劇場バレエ)

『白鳥の湖』第3幕パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:ミルナ・ミチウ (クロアチア国立劇場)、吉田司門 (クロアチア国立劇場)

『ハムレット』よりパ・ド・ドゥ
振付:レオ・ムジック
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー、カミーユ・サン=サーンス
出演:鈴木里依香 (クロアチア国立劇場)、住友拓也 (クロアチア国立劇場)

『ラプソディ』よりパ・ド・ドゥ
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
出演:アリーナ・コジョカル (ハンブルク・バレエ)、吉山シャール ルイ (チューリヒ・バレエ)
ピアノ演奏:圓井晶子

『眠れる森の美女』第3幕パ・ド・ドゥ
振付:ウエイン・イーグリング (マリウス・プティパ原振付による)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:柴山紗帆(新国立劇場バレエ団)、井澤 駿(新国立劇場バレエ団)

~休憩~

第2部
『Conrazoncorazon』より
振付:カィェターノ・ソト
出演:新国立劇場バレエ研修所

『ライモンダ』第3幕よりジャン・ド・ブリエンヌのヴァリエーション
振付:マリウス・プティパ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
出演:イ・カンウォン(韓国芸術総合学校バレエアカデミー)

『コッペリア』第3幕パ・ド・ドゥ
振付:アルテュール・サン=レオン
音楽:レオ・ドリーブ
出演:玉井千乃 (ポズナン歌劇場バレエ団)、北井僚太 (ポーランド国立歌劇場バレエ団)


『デンジャラス・リエゾンズ』第2幕より寝室のパ・ド・ドゥ
振付:リアム・スカーレット
音楽:カミーユ・サン=サーンス
編曲:マーティン・イェーツ
出演:吉田合々香 (クイーンズランド・バレエ)、ジョール・ウォールナー (クイーンズランド・バレエ)

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:近藤亜香 (オーストラリア・バレエ)、チェンウ・グオ (オーストラリア・バレエ)

『マノン』第1幕より寝室のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
編曲:マーティン・イェーツ
出演:アリーナ・コジョカル (ハンブルク・バレエ)、吉山シャール ルイ (チューリヒ・バレエ)

〈フィナーレ〉出演者全員