演奏生活50周年イヤーです。今年の初本番、本日はこちら。
https://pianopassage.jp/posts/post-47100/
用意していただいたのはベヒシュタインモデルⅠ型270コンサートモデル平行弦 1880年製のピアノ。そして、みんなが大好きスタインウェイのB型。いつものように、試弾時間があって好きなピアノが選べるのですが、今回はなんと全員がベヒシュタインをチョイス。だって、こんな貴重なピアノ、いつ弾けるかわからないでしょ。それにしても、こんなに存在を無視されるスタインウェイ、初めて(いえ、パッサージュ所有のスタインウェイ、素晴らしい名器なんですよ)。
ベヒシュタインはワイマールのリストハウスにあるベヒシュタインと同じモデルで、 ワーグナーの別荘にあるピアノも同型のモデルかもしれないとのこと。ショパンやリストは平行弦で作曲しています。って、今日弾くのはショパン。じゃ、こちらで演奏しましょうかねぇ。
150年も前の楽器なのでとにかく存在が芸術品。オーバーホールされてもちろん、ちゃんと現役です。盤は象牙(張り替えているのでキレイ!)
昔のロゴマーク
楽譜を置くのが勿体なくなる譜面台。弦は並行なのに、譜面台下の板(というのか?)が斜めになっています。
子犬でも大型犬の脚が太いのに似てます。鍵盤両サイドのドラゴンの彫刻。よくまあ今までご無事で。
このデザイン、掃除が面倒なタイプですねw 今はハンディモップがあるのでかなり楽になりました。
ペダルは2本。この時代はまだ真ん中のペダルを使った楽曲はありません。ペダル回りのデザインも何だか豪華。ソフトペダルの効きが素晴らしく、数分の試弾では試せないことも多々。
ピアノ裏側の梁はこんな感じ。
並行弦なので内部はザ・直線、見事に並行! 低音の弦が端っこにあるというのが特徴で、それがそのまま響きにも影響しています。調律師の親方曰く「箱の端を叩く音」と、まさにその通り♪ 高音はチェレスタか何かのような涼やかな音、低音は重厚に響くのではなく、強く響く感じ。
ダンパーも真っ直ぐ。そして、ダンパーの長さが近代ピアノに比べて短いのが特徴。
↑こちらはお馴染みスタインウェイ↑
弦を交差させることで、低音の弦が響板の中心に来るようになっています。これが発明された時センセーションを起こしたそうです。
譜面台の斜面の調整はこんな感じ。H型の棒です。この写真だとわかりにくいけれど、ダンパー回りの空間が近代ピアノに比べて狭いんです。バイロイト祝祭劇場のオケピの開口部みたい。
フルコンを動かす時の手すり(嘘です、蓋が開かないようにするための鍵です)
またいつもだと演奏しながら良く聞こえてくる低音や、高音のキラキラした感じがないので、試弾の時と本番の時は慣れない響きに戸惑ってしまいましたが、本編終了後の緩和の部(打ち上げパーティですね)で古典が演奏されるとタイムトリップしたような気分になるのは想定内として、印象派が演奏されると、あ~ら不思議、今まで聴いたことのない不思議な世界にいざなわれるのでした。客席で聴くのと弾きながら聴こえる音があまりに違うので、緩和の部では他の人が演奏している時、響板の中に頭を突っ込んでみたのですが、背中がゾクゾクするような、癖になってしまう経験。とはいえ、近代ピアノの現ベヒシュタインやスタインウェイも大好きなんです。
お土産にいただいたポストカード。
今日のピアノと一緒だ~~~!