Firebird@新宿ピカデリー | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 日本映画を中国語で公開されたら「え!?」となると思いますが、今回はソ連(占領下のエストニア)の物語が英語で展開されます。日本人としてはわかりやすいけれど、ちょいと違和感。映画の中に登場する文字は英語じゃなかったりするので余計にね。なお、この作品は、新国立劇場で先日上演された『エウゲニ・オネーギン』同様、ロシアのアーティストとウクライナのアーティストが共演しています。

 

 上長(ロマン)との結婚を応援してくれていると思っていた同僚(セルゲイ=田舎から出てきた20歳のロシア人少年♂)と上長が実はできていた」という三角関係。主な登場人物はロマンとセルゲイと、セルゲイの親友かつロマンの妻になるルイーザ。1970年代のソ連では同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処されることもあり、同僚からの密告あり、二人の尻尾をつかもうとする少佐も登場。「いや、バレるでしょ」という展開にハラハラしっぱなしでした。すごく仲が良かった参人が決裂して終わるラストが余計切ない。。。何よりも、事情を知らないまま上長と結婚し、子供をもうけたルイーザが不憫でならないですわ。

 

 「ゲイはバレエが好き」とか「チャイコフスキーはゲイのアイコン」とかを踏まえて見ると、いろんな場面でチャイコの曲が流れたりするのがツボ。Firebirdはそのまんまストラヴィンスキーの「火の鳥」で劇中バレエとしてちょくちょく登場します。民族色豊かな衣装、豪華な客席、やたらと狭い間口の舞台(10mないかも)など、バレエシーンだけでも楽しかったです。なお、この映画が公開されたのは2021年。ロシアは2023年に「国際的なLGBT(性的マイノリティー)市民運動」と呼ばれるものを過激派組織と断定し、全国での活動を禁止しているそうです。その一方で、この映画の舞台となったエストニアは、2024年1月1日婚姻の平等を実現する家族法が施行され、旧ソ連圏で初の同性婚承認国となったそうです。って先月!?

 

Story

1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属されてくる。セルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。ロマンも、セルゲイと目が合ったその瞬間から、体に閃光が走るのを感じていた。写真という共通の趣味を持つ二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエトでは同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。

 

実在のセルゲイ。俳優になるだけあって本人もイケボ。

 

なんと!どうせだったら舞台挨拶のある回を見たかった!

 

2021年製作/107分/R18+/イギリス・エストニア合作
原題:Firebird
配給:リアリーライクフィルムズ
劇場公開日:2024年2月9日

【スタッフ】
監督:ペーテル・レバネ
製作:ブリギッタ・ローゼンブリカ ペーテル・レバネ トム・プライアー
原作:セルゲイ・フェティソフ
脚本:ペーテル・レバネ トム・プライアー セルゲイ・フェティソフ
撮影:マイト・マエキビ
編集:タムバート・タスジャ
音楽:クシシュトフ・A・ヤヌチャク

【キャスト】
セルゲイ:トム・プライアー
ロマン:オレグ・ザゴロドニー
ルイーザ:ダイアナ・ポザルスカヤ
クズネツォフ大佐:ニコラス・ウッドソン

ズベレフ少佐:マルゴス・プランゲル

公式サイト
https://www.reallylikefilms.com/firebird

 

 

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