【CINEMA】天空の結婚式@シネマカリテ | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 2003年にオフ・ブロードウェイで初上演されたストレートプレイ『My Big Gay Italian Wedding』の映画化作品です。主人公のお父さんは村長として「どんな人でも受け入れる」村を目指して、難民や外国人の受け入れについて日々議会で戦ってるのに、息子が連れてきた婚約者が男だった!となると動揺しまくるんです。リベラルな人も実は偽善者かもしれないという皮肉が利いています。うろたえる父親と開き直る母親との対比が鮮やかでした。

 

 正直、息子には魅力はないです。彼に「結婚しよう」とプロポーズすれど、「愛している」とは言わないし、こっそり元カノと姦淫してるし。こんな息子のために窮地に追い込まれるパパが不憫で不憫で……笑えます。妻には「息子の結婚式を挙げないなら離婚」と脅迫され、「職場で寝なさい」と家を追い出されるし、村長権限で教会の利用ができないようにして結婚式の阻止を目論むも「宣伝になるじゃん!」と議会に却下されるし、頼みの綱の神父様はゲイカップルの結婚に前向きだし、もう踏んだり蹴ったり。さすれば教会を燃やしてしまおうとするも、自身が一酸化炭素中毒(?)で倒れこみ、なんと息子の婚約者に救われるんだから立場なし。「男はつらいよ」のイタリア版です。モジャモジャひげを蓄えた強面なのに何だか可愛く見えてきます。そして、そんなひげを汚さずにパスタを食べるテクニック、さすがです。それにしても、どんなに邪険にされても妻にはジェントルで優しい姿、イタリア男がモテるのも納得。

 

 で、その妻にして主人公の母親が、ヒラリー・クリントンにそっくり。最初こそ「ああっ」って顔をしていたのに開き直りが早い早い。主役たちを差し置いて「最善の、じゃなくて、最高の結婚式を! 費用? 私が出します!」と暴走スタート。反対を唱える夫はたたき出し、息子のフィアンセには「結婚式にあなたの母親を呼ばないんだったら結婚させない」とお尻を叩いたり、何とも爽快。そして、カミングアウトしているのに息子を追いかけ続ける元カノ(ストーカーぶりがこれまた怪演)のことは「元から虫が好かなかった!」と痛快な一言。イタリアではマンマが一番と聞くけれど、まさにド迫力でした。大好き!

 

 イタリアの人口250人の古い村で、村長の父親以外は同性婚に誰もビックリしないのにもビックリですが、ちょっと現実離れしている感じが90分のコメディ映画としてはちょうど良いあんばいです。最後のオチが賛否両論の映画ですが、そこに行きつくまでに「何でもあり!」と洗脳されちゃいましょ。同じアホなら踊らにゃ損・損。もはや、主人公カップルはどうでも良くなってくるのが不思議!

 

天空の結婚式   Puoi baciare lo sposo   90分

【スタッフ】
監督:アレッサンドロ・ジェノベージ
製作:マウリツィオ・トッティ アレッサンドロ・ウサイ
原案:アンソニー・J・ウィルキンソン
脚本:アレッサンドロ・ジェノベージ ジョバンニ・ボニェッティ
撮影:フェデリコ・マジエロ
美術:ルカ・メルリーニ
衣装:クリスティーナ・アウディーシオ
編集:クラウディオ・ディ・マウロ
音楽:アンドレア・ファッリ

【キャスト】
アントニオ:クリスティアーノ・カッカモ
パオロ:サルバトーレ・エスポジト
アンナ:モニカ・グェリトーレ
ロベルト:ディエゴ・アバタントゥオーノ
エンツォ・ミッチョ(本人役):エンツォ・ミッチョ

http://tenkuwedding-movie.com/