【CINEMA】蜂蜜と遠雷@新宿ピカデリー | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 浜松国際ピアノコンクールをベースにしたフィクション映画です。キャストが豪華。(あくまでピアニストベースでの鑑賞です)。クラシック・ファンにはお馴染みの、今を時めく若手ピアニストたちによる、幻のコンクールを疑似体験。このメンバーがホントにコンクールで衝突したら凄いことになりそう!

 

   栄伝亜夜:河村尚子
   高島明石:福間洸太朗
   マサル・カルロス・レヴィ・アナトール:金子三勇士
   風間塵:藤田真央

 

ちょっとお姉さんの河村尚子、既に中堅どころの福間洸太朗、生まれも育ちもインターナショナルな金子三勇士、現役の音大生でつい先日チャイコフスキー・コンクールに入賞したばかりの藤田真央。浜松が舞台とあってか、中村紘子を思わせる審査委員長まで登場するので、てっきり、彼らをモデルにしたあてがきかと思ったら、原作ものだったんですね。まったく違うタイプの演奏者が揃ったからこそ、この映画が成り立ったんだと思わせる力がありました。

 

 そもそも、この映画はやたらとカワイが宣伝していたので知ったのですが、亜夜がチョイスするピアノがシゲル・カワイなんですね。明石と塵がヤマハ。そして、マサルがスタインウェイ。正直「この曲弾くのにカワイをチョイスするか?」という謎も残りましたが、どうやら、ヤマハとカワイが制作に参画とのこと。スタインウェイなんて、メーカー名がチラッとしか映らず、このあたり、大人の事情が見え隠れします。「ヤマハとカワイは、アメリカのスタインウェイとともに、世界三大ピアノメーカーと言われています(by浜松市長)」・・・いや、さすがにそれは言い過ぎでしょ('◇')ゞ。一方、オーケストラの名前がいかにも寄せ集めの二流団体みたいなネーミングでしたが、そのまま東フィルで良いのに、ねぇ。

 

 大人の事情といえば、浜松のコンクールですが使われたホールは武蔵野音大のバッハザール。『のだめカンタービレ』は江古田キャンパスが舞台でしたが、『蜂蜜と遠雷』では入間キャンパスが使われています。雨漏りがするだの、舞台の補強がベニヤ板で床がたわんでいるだの、大家さんに対して暴言放題。おまけに、駐車場も雨漏りで、ピアノがビショビショという展開はさすがに「?」でした。そもそも、蜂蜜なんて映画に登場したっけ? 原作を読んだら解決するんでしょうね、きっと。音大を使ったことで、色んな練習室が覗けたり、学内散策ができたり、これはこれで楽しかったです。そして、吹き替えならぬ、演じ替え俳優たちの、ピアニストっぷりもアッパレでした。途中「あ、入れ替わったな」とわかるんですが、それでも、パーツ、パーツでちゃんとコンチェルトを弾いているんだから偉いものです。

 

 ピアノをたしなむ者にとっては共感できる台詞が山のようにありました。「私は死ぬほど練習してきたのになんでアンタなの!?」とヒステリーを起こすコンテスタントに「努力すれば報われるなんて妄想です。成功するのは練習した天才だけです」と、汚れたおっちゃんは思ってしまいます。が、「それでも楽しんだって良いじゃない!」とか「たった一人で聴き手がいなくなってもきっとピアノ弾く位好き」とか、良い台詞がいっぱい。そして、家族が寄り添って連弾することで音を楽しむことを伝えたり、昔のレッスン仲間が何年もたってるのにいきなりデュオをしても息がぴったり、ちょっとしたアドバイスやイメージでガラリと演奏が変わるなどなど、これまた誰しも経験しているであろうエピソードの数々にホッコリ。

 

 贅沢を言えば、先日の『ボヘミアン・ラプソディ』みたいに、ラスト位はカットせずに丸々一曲聞かせてほしかったなぁ。そして、この映画のキャストをそのままスライドさせて『のだめ・カンタービレ』が見たいと思ったのでした。

 

 

119分

 

【スタッフ】
監督:石川慶
原作:恩田陸
脚本:石川慶 
美術:我妻弘之
装飾:篠田公史
スタイリスト:高橋さやか
ヘアメイク:酒井夢月 
 

指揮:円光寺雅彦
東京フィルハーモニー交響楽団
 
【キャスト】
栄伝亜夜:松岡茉優
高島明石:松坂桃李
マサル・カルロス・レヴィ・アナトール:森崎ウィン
風間塵:鈴鹿央士
高島満智子:臼田あさ美
仁科雅美 : ブルゾンちえみ
ジェニファ・チャン:福島リラ
ピアノ調律師:眞島秀和
クロークの女性:片桐はいり
菱沼忠明:光石研
田久保寛:平田満
ナサニエル・シルヴァーバーグ:アンジェイ・ヒラ
嵯峨三枝子:斉藤由貴
小野寺昌幸:鹿賀丈史

 

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