不動産の評価額いろいろ | 司法書士事務所尼崎リーガルオフィスのブログ

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相続の遺産分割協議、生前に子に贈与する、住み替えなどによる売却など不動産の権利を移転する場面は一般の方であっても人生で数回は経験することが多いと思います。


不動産の評価については実際に不動産業者が販売している価格のみでなく、国や行政等が決定する価格もあり、俗に 一物四価(五価) などと言われることもあります。


これらの価格はそれぞれ根拠があり、どのような違いがあるのかをまとめました。

※以下は、不動産のうち「土地」についてのものです。建物は建築価格から減価償却され評価される、または再建築した場合の価格で評価されるのが一般的です。


1.実勢価格(市場価格) ★実際に取引された土地の価格

・実勢価格は、実際の取引価格であり、土地を売買する際の地価の目安になります

・不動産業者のポータルサイトや国土交通省の取引価格情報提供制度のサイトで実勢価格を調べることもできます

・売主や買主の事情(資金が必要なため安く売り急ぐ、学校区の関係で高くてもよいから早く物件を購入する必要がある等の個別事情)により価格が決まるため、相場から離れた価格になることもあります


2.公示価格 ★国が公表する土地の目安価格

・国土交通省が標準値として選定した土地(令和2年は2万5943か所)の1月1日時点における1㎡あたりの更地の価格で、毎年3月に公表されます

・公共用地の取得価格の算定の基準とされます。企業会計での資産の時価評価にも活用されます


3.基準地価 ★都道府県が調査した土地の目安価格

・基準地価は都道府県が選定した基準値(令和元年は2万1540か所)の7月1日時点の1㎡あたりの更地の価格を調査したもので、毎年9月下旬に公表されます

・基準地価は、都市計画区域外も含まれるため、都市の郊外の土地価格もわかり、公示地価を補完する役割があります


4.路線価 ★国税庁が調査した土地価格

・国税庁が、毎年1月1日時点における主要路線(道路)に面した宅地等の1㎡あたりの評価額で毎年7月に公表されます

・その年に発生した相続や贈与における宅地等の評価については、その年の1月1日時点における路線価が適用されます

・調査地点は約32万9000地点に上り、売買実例価格・公示価格・不動産鑑定士等による鑑定評価額・精通者意見価格等をもとに国税局長が評定します

・路線価は、1年間の地価変動などを考慮して、公示価格の8割程度の水準で定められています。rp専科による評価額を1.25倍すると、実勢価格の目安になるとされています


5.固定資産評価額 ★市区町村が不動産ごとに評価額を算出

・固定資産税算定の基準とするため、市区町村が公示価格や不動産鑑定評価額の7割を目途として算定します

・評価額は3年に一度、評価替えが行われます(次回は令和3年)。但し、評価替えのない年であっても、「宅地にかかる負担調整措置」や「新築住宅の軽減措置」の終了などによって、課税標準額が変われば税額が上がることはあります