成年後見人等に就任できない人 | 司法書士事務所尼崎リーガルオフィスのブログ

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成年後見制度では、成年被後見人、被保佐人および被補助人を保護するために、それぞれ成年後見人、保佐人、補助人が付くことになりますが、これらの成年後見人等は家庭裁判所が、下記の欠格事由の無い者の中から選任することになっています。


未成年者


家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人


破産者


④制限能力者(被後見人、被保佐人、被補助人)に対して訴訟をした者、およびその配偶者ならびに直系血族


行方の知れない者



この成年後見人等の選任において家庭裁判所は、制限能力者の心身の状態ならびに生活および財産の状況、成年後見人等となる者の職業および経歴ならびに制限能力者との利害関係の有無、制限能力者の意見その他一切の事情を考慮されることになっています。



したがって、欠格事由の無い人は成年後見人等の資格はあることになります


しかし、前回でもお話したように遺産分割調停がまもなく行われると予定、予想されるような場合には、親族が選任されることはまずありません


成年後見人等は制限能力者である本人を代理して遺産分割調停に関与することになりますが、遺産分割手続きの中では、相続人同士がお互いの代理人になることはできません


遺産分割の調停行為は、客観的にみて相続人相互間に利害の対立を生ずるおそれのある行為となり、同一の法律行為についてその相手方の代理人になることはできないと民法108条で定められているからです。


以上から、遺産分割手続中に後見等開始審判が行われても、成年後見人等に共同相続人が選任されることはありません。


ただ、何らかの事情によって、共同相続人の一人が成年後見人等に就任したときは、遺産分割の調停手続きを進めるために、成年後見人等や制限能力者やその親族から成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人、特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人などの選任を家庭裁判所に申立て、選任された人が制限能力者を代理して調停を進めることになります。