☆変奏曲Ⅷ
パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
第5楽章![]()
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シャコンヌ![]()
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たった8小節の主題を第30変奏まで引き伸ばし
荘厳なカテドラルを目の前に見せてくれるシャコンヌは
クリスチャンでもない私を敬虔な気持ちに導いてくれます。
ある建築家の言葉
○○○の音楽は音が細い線状になって輝きながら
下へゆっくりと落ちていくもの
○○○に入る作曲家名
気付かれていた方もいらっしゃると思いますが
改めて言います。バッハです。
私の印象はある建築家の言葉とほぼ変わらないです。
バッハの音楽は音が輝きながら
ゆっくりと下へ落ちて行く。
それで輝く音に見とれ、落ちて行く音を追いかけてしまったのです。
良く見るとあたり一面には、輝きを失った音が雪の様に降り積もっていて
何だか無性にむなしさが込み上げてきました。
もうバッハの独奏曲なんか二度と聞くまいと思いつつも
やっぱりバッハが聴きたい。
じゃあ音を追いかけなければいい。
次から次へと生まれて来る音だけを見ればいい。
でも駄目でしたね。
ついつい音を追いかけてしまう。
そのたびにむなしい思いをしなければならない。
誰でもいいから生まれる瞬間の音で
私を釘付けにしてくれないだろうかと
多くの演奏家をあたりました。
大好きなダヴィッド・オイストラフやヘンリク・シェリング
も試してみました。
でもやっぱり駄目なんですね。
このままバッハの独奏曲を一生聴く事は
ないだろうと落胆してしまったため
バッハのCDを1枚も購入せずでした。
月日は流れある日
私の大好きなヴァイオリンニストが
バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータを
発売する事になりました。
いちかばちかの挑戦、予約する事にしました。
デビュー当時から好きで
彼女が好きな作曲家はバッハだと知っていましたから
ある程度の期待はしていました。
購入したCDを聴くと
バッハの音がすんなりと耳に入ってきました。
彼女が音を生み出す瞬間に釘付けになり
もう2度と音を追いかける事も下を見る事もなくなりました。
おかげで他のバッハの作品も聴けるようになり
今までのバッハ拒絶症がうそのようです。
この場を借りて千住真理子さんにお礼が言いたいです。
ありがとうございました。
さて私の3大苦手作曲家はあと一人です。
ショパンはこれより前に、自力で軽く克服できたけど
残りの一人は手ごわいぞ。
なんってたって
交響曲第1番・2番、ピアノ協奏曲第2番と
一時は嵌っていたのだから。
もしかしたら一生聴かないかも?
バッハMINI知識
バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは
いわゆる教会ソナタと同じく、緩ー急ー緩ー急の
4楽章形式となっていて、第2楽章をフーガとします。
それに対してパルティータは「組曲」の意味があり
ソナタのように形式にとらわれず
もっと自由で世俗的な音楽を指します。
- 千住真理子, バッハ
- バッハ : 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
- 千住真理子, バッハ
- 無伴奏ヴァイオリンの世界
変奏曲の原点はやはり「カノン」ではないでしょうか。
カノンとは繰り返しと言う意味ですからね。
私が何故ここまで変奏曲にこだわるのか。
それは変奏曲の原点は繰り返しであり
繰り返す事を続けた私の大好きな作曲家がいたからです。
歌曲には通作歌曲と有節歌曲があります。
通作歌曲は歌詞の進行に従ってメロディが変わっていきます。
有節歌曲は同じメロディを何度も繰り返します。
歌曲だから変奏はほとんどありません。
私はシューベルトの有節歌曲に惹かれ
メロディを繰り返す事の素晴らしさを彼から学びました。
その後パッヘルベルの「カノン」を聴き
変奏曲に惹かれていったのです。
八夜に渡ってお送りしてきた変奏曲を
最後まで読んでくれた方々
ありがとうございます![]()
☆変奏曲Ⅶ
パガニーニ:24の奇想曲(カプリースorカプリッツィオ)
第24番![]()
今夜は7つ目の変奏曲
ですね。
パガニーニ作曲24の奇想曲より第24番です。
パガニーニは驚異的なヴァイオリン・テクニックを
ほとんど独学で身に付けました。
そのテクニックのあまりの凄さに当時の人々はこう言いました。
「パガニーニは悪魔に魂を売ってヴァイオリンの技法を身につけた。」
この24曲にはハーモニクスを除く
ヴァイオリンのすべてのテクニックが盛り込まれています。
だからこの24曲を完全に弾きこなせれば
技術面ではヴァイオリンは卒業![]()
誰にも習う必要なしとまで言われました。
ではピアノ曲にもそんな曲はあるのでしょうか。
あります。
彼の作品を弾きこなせれば
技術面ではピアノを卒業![]()
(この件に関して反論もありましょうが、ご勘弁の程を)
彼の名はリスト
パガニーニの演奏を初めて聴いて
「僕はピアノのパガニーニになるんだ
」
と言ったそうです。
超絶技巧練習曲、パガニーニ大練習曲などを作曲
パガニーニ大練習曲第3番は「ラ・カンパネラ」
として有名ですよね。
そしてパガニーニ大練習曲第6番が
奇想曲第24番のピアノ版と言えるでしょう。
リストがこれだけの超絶技巧曲を作ろうと思ったきっかけは
一説によればショパンへの劣等感だと言う人がいます。
ショパンの手はピアニストにはうってつけ
大きな手、長い指をしていました。
それに対してリストは手が小さく、指も短かったそうです。
子供の頃は指が届かない為
リスト専用のピアノを作って貰ったそうです。
ラフマニノフはリストとは全く逆でした。
一般のピアニストよりも
さらに大きい手、長い指をしていました。
そして彼は自分の手に合わせた曲作りをしているので
手の小さいピアニストにはちょっと苦しいかも知れないです。
そんな彼も奇想曲第24番のメロディ
を使って
変奏曲を作っています。
ただし題名は変奏曲ではなく、狂詩曲となっています。
「パガニーニの主題による狂詩曲」です。
曲の内容は狂詩曲と言うだけあって
単純な変奏曲ではなく
少し複雑、難解なつくりとなっています。
でもラフマニノフ愛好家であれば難なく
に届くことでしょう。
他にはブラームスとシューマンが
このメロディ
を使った曲を作っていますね。
今から30年近く前
日本人がパガニーニコンクールに
入賞するのは絶対無理と言われていました。
そんな時代に彼女は4位に入賞し
一躍脚光を浴びました。
彼女にとってこの曲は外せないでしょう。
↓
- 千住真理子, パガニーニ
- パガニーニ:24のカプリース
- ホフマン(ルー カツァリス(シプリアン), ホフマン(ルードリヒ), カツァリス(シプリアン), リスト
- リスト:ピアノ名曲集
ラ・カンパネラで有名なフジ子・ヘミング
ラフマニノフの狂詩曲も弾いているんですね。
↓
- フジ子・ヘミング, スーパーワールド・オーケストラ, ウィリス(アラステア), ラフマニノフ, モスクワ・フィルハーモニー交響楽団, シモノフ(ユーリ), ショパン
- カンタービレ
- 園田高弘, ブラームス
- ブラームス・アルバム3
さて次回はラスト
<○○○の音楽は音が細い線状になって・・・・・・・・>
○に当て嵌まる作曲家の変奏をご紹介
ではでは![]()
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☆変奏曲Ⅵ
怪しくも美しい
ラ・フォリア![]()
作曲不詳、中世ヨーロッパの闇と光が生み出した
怪しくも美しいメロディ「ラ・フォリア」
多くの作曲家が変奏曲
として手がけました。
中でもコレルリ(コレッリ)の変奏曲
はあまりにも有名
彼が作曲したと勘違いした人は多く、ラフマニノフもその一人
巷では未だにコレルリ作曲と表示される事が多いようです。
みなさんも「ラ・フォリア」を聴いて
中世ヨーロッパに時間旅行
しませんか。
シンコペーションたっぷり、3拍子のリズムにあわせて
踊ってみませんか![]()
Shall We Dance も流行ったことだしね![]()
ラ・フォリアMINI知識
ラ・フォリアとはイベリア半島で起こった
騒がしく、ふざけた気分の踊りであった。
名前の意味も”狂気”、”でたらめ”となっており
ヨーロッパ諸国に広まるにつれ変貌していくのでした。
①
バスクイーニ
「ラ・フォーリア」によるパルティータ収録
↓1696年製の楽器でどうぞ
- ブレ(ロランス),ヴェイロン=ラクロワ(ロベール) マリ(ゴードン), マリ(ゴードン), カベソン, ブレ(ローランス), ベックマン, クロフト, ヴァレンテ, パスクイーニ
- 名器の響き 鍵盤楽器の歴史的名器
②
コレルリ:ヴァイオリン・ソナタ第12番の中で
「ラ・フォリア」のテーマを使って変奏曲にしています。
一般的にこの変奏が一番有名ですね。
↓グリュミオーのヴァイオリンでどうぞ
- グリュミオー(アルテュール), タルティーニ, カスタニョーネ(リッカルド), クライスラー, コレルリ, ヴィターリ, ヴェラチーニ, パガニーニ
- バロック・リサイタル+2
③
ヴィヴァルディ:トリオ・ソナタ ニ短調 作品1
12曲目に「ラ・フォリア」のテーマを使って変奏曲にしています。
↓私のお気に入り
- エンシェント室内管弦楽団, ビバルディ, ホグウッド(クリストファー), シャンクス(クレア), A.マルチェルロ, カークビー(エマ), プレストン(サイモン), コプレイ(マイケル)
- マルチェッロ: オーボエ協奏曲/ヴィヴァルディ: トリオ・ソナタ ニ短調 RV.63「ラ・フォリア」 他
④
ジェミニアーニ
合奏協奏曲第12番に
「ラ・フォリア」のテーマを使って変奏曲にしています。
↓イタリア合奏団の演奏でどうぞ
- イタリア合奏団, ガルッピ, ヘンデル, パッヘルベル, ボンポルティ, ジェミニアーニ
- バロック名曲集
- ⑤
コレルリの「ラ・フォリア」を - リコーダ奏者フランス・ブリュッヘンの演奏でどうぞ
- ↓通奏低音あり
- ブリュッヘン(フランス), ビルスマ(アンナー), レオンハルト(グスタフ), コレルリ, バルサンティ, ヴェラチーニ, ビガリア, シェドヴィル
- ラ・フォリア~オリジナル楽器によるブロックフレーテ曲集4
*確認のために
今回紹介した作曲家は次の通りです。
①バスクーニ ②コレルリ(コレッリ) ③ヴィヴァルディ
④ジェミニアーニ ⑤コレルリ(コレッリ)
ではでは![]()
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☆変奏曲Ⅴ
- SIMPLE IS BEST
- 以前のブログでも言いましたが
- 変奏曲は主題が命
と考える場合とそうでない場合があると。 - 今まで紹介してきた曲はどちらかと言えば
主題の良し悪しよりも
作曲家の腕の見せ所を紹介してきたようなもの。
では主題も変奏も究極の音楽を探求
していきましょう。
私を変奏曲の素晴らしさに目覚めさせてくれたとても感慨深い曲
それは
誰でも知っている名曲中の名曲
です。
パッヘルベルのカノン![]()
クラシックだけでなく
癒し系の音楽からセレモニーの音楽まで
色んなジャンルで色んな方が演奏をしています。
カノンで検索すると200枚以上のCD
が出てきます。
その中で
どうしてもピアノで演奏しているCD
を紹介したくて
しかもオリジナルに負けない内容のもの
ジョージ・ウインストンのDECEMBER![]()
あまりにも有名なCD
ですけどね、
この中にパッヘルベルのカノンが収録されている事は
あまり知られていないようです。
彼の脚色はオリジナルに
決して引けを取らない素晴らしいものです。
彼はこのメロディ
を使って
自然と一体になろうとしています。
皆さんどうかこの演奏で
ピアノを聴く喜び、弾く喜び、自然と一体となれる喜びを
味わって下さいね![]()
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- George Winston
- December
それでは次回も究極の変奏曲をききましょう。
ではでは![]()
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☆変奏曲Ⅳ
「変奏曲」第Ⅳ弾(ベートーベン③)
ベートーベン最後の変奏曲は
ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調 作品47「クロイツェル」
第2楽章
苦しくて苦しくて身を焦がすほどの恋をした事がありますか。
好きで好き
でたまらなくて
会えば会うほどよけいに胸
が苦しくなって行く
クロイツェル・ソナタの第1楽章を聴いていると
そんな恋
に落ちて、身を滅ぼして
しまいそうで恐いです。
でもご安心下さい。
そんな不安は第2楽章が始まればすぐに吹き飛んで
しまいます。
ここで演奏される4つの変奏曲が
あなたを優美な世界
へと連れて行ってくれることでしょう。
ここではいつもしかめっ面をしているベートーベンが
珍しく笑み
を浮かべております。
ところで真のヴァイオリン・ソナタと言うのは
ベートーベンが作曲した物を指します。
ここではピアノとヴァイオリンが対等に会話をしています。
ではモーツァルトのヴァイオリン・ソナタはどうであったのか
楽譜をよく見てみましょう。
ヴァイオリン伴奏付きピアノ・ソナタとなっているではないですか。
そうです
ヴァイオリン・ソナタとは名ばかり
実はピアノ・ソナタだったんですね。
オイストラフ(ダヴィド), オボーリン(レフ), ベートーヴェン
私は南国志向のせいか、ロシア人演奏家というのは
どれだけ情熱的な演奏をしていても
冬景色が浮かんできて寒さを感じてしまいます。
(さしずめ津軽海峡冬景色ってとこかな)
例えば
私が大好きだったピアニスト、スビャトスラフ・リヒテルもそうです。
でもダヴィッド・オイストラフはそうじゃなかった。
どこか温かみのある演奏をしてくれます。
普通ここでお話は終わりなんですが
今夜はちょっと趣向を変えてみましょうね。
つぶやき三郎のドイツ昔話 ![]()
ナチスドイツの弾圧が厳しく
国外へ亡命して行く音楽家が多い中
指揮者・フルトヴェングラーは決して逃げませんでした。
それどころか客席で銃を持った軍に監視される中で
ベートーベンの交響曲の演奏を強行したのです。
とりわけ有名なのがベルリンフィルを従えての第九交響曲
狂気のなかで強行された神聖なる演奏です。
こんな演奏は後にも先にも二度と生まれる事はないでしょう。
さて、ここからは、妄想の世界への扉を開きましょう。
(世にも奇妙な物語ではありません、ご安心を)
フルトヴェングラーの下でベートーベンの交響曲を
演奏する事になったベルリンフィルのメンバーである
初老の紳士は第2ヴァイオリンを担当しています。
彼はホテルにチェックインを済ませ食事をとり終えると
演奏会の為の練習を始めました。
テーブルの上には
ベートーベンの交響曲の楽譜が置かれていました。
そこへ10歳位の少年がヴァイオリンを持ってやってきました。
世間知らずの少年は小さい頃からモーツァルトが大好きで
他の作曲家の楽譜を見たことがありません。
いつも弾いているのはモーツァルト
時には交響曲の第1・2ヴァイオリンのパートを弾いて
楽しんでいたのです。
そんな彼が初老の紳士の音色に惹かれやってきたのです。
初老の紳士は言いました。
「おやおや、ぼうやもヴァイオリンを弾くのかい」
「では一緒に弾こうか」
少年はいきなり楽譜を見て言いました。
「おじさん、駄目だよこんな曲じゃあ」
「こんなメロディじゃ、第2ヴァイオリンさんが可愛そうだよ!」
「こんなメロディ弾いててもつまらないでしょう」
「ここのところ、フールートさんだって可愛そう」
「こんなつまらないメロディをずっと弾かされてるじゃないか」
「どうしてこの人はオーケストラのみんなが平等に
楽しめるメロディを作曲してあげないの」
「僕がいつも弾いているモーツァルトはそんな事しないよ」
「オーケストラのみんなが平等に楽しめるように書いてあるんだ」
初老の紳士は子供である事を忘れ
つい強い口調で言ってしまいました。
「私達はねベートーベンに命を賭けてるんだよ
だからこれでいいんだよ」
「みんなで団結して、いい音楽ができれば満足なんだ!」
「ぼうやも大人になったら解る時が来るからね」
少年は言いました。
「そんなの絶対嫌だよ、だったら僕大人になるの止める」
「楽しくなきゃ音楽じゃないや!」
とうとう少年は泣き出してしまいました。
初老の紳士は我に帰り
少年をなだめようとしましたが
泣き止んでくれません。
困った彼はどうする事もできず
立ちすくんでしまいました。
この後の続きは皆様のご想像にお任せします。
我こそはと思わん方がいらっしゃれば
続けてみて下さいね![]()
ではでは![]()
