(過去記事1)ではじまる五回シリーズを書き終わって思ったこと。

 町の寿司屋さんが潰れているらしい。
 大手回転寿司チェーン店に負けてるのだろう。
 でもこれは寿司屋に限った話ではない。定食屋だって喫茶店だって飲食店一般だってコンビニだってほとんどの業種で
個人独立経営店から大手チェーン店
へとシフトしている。

 客としてもチェーン店の方が信用できるし楽なのだ。
 個人経営店はその店主との個人的な関係が煩わしいのだ。

 スーパーが台頭してくる前は主婦は商店街で肉屋魚屋八百屋を回って買い物をしていた。その度に店主と雑談を交わし、今日は何が安いか良いか聞かなくても店主がお勧めを言ってきた。よく言えば人情だが、所詮は商売上の情だ。そこの店主とは子供が一緒の学校だったり何らかの関係があったりもする。八百屋にしろ肉屋にしろ魚屋にしろ通常はかなり頻繁に通うもので、しばらく行ってなかったら、
久しぶり、どうしてたの?
なんて聞かれちゃう。
もっと安い店見つけたからそっちへ行ってた
なんて答えられない。気まずくて。

 うちの近所の喫茶店はいつ行ってもマスターがいる。良くしてくれるのだが、それであまり注文せずに長居しちゃいけない、とか、久しぶりに行ったら近況聞かれちゃうかも、とか考えちゃう。年配の常連さんとかマスターとよく話してる。
 昔のドラマや映画だと主人公が常連にしてる喫茶店や食堂や居酒屋がよく出てきた。仮面ライダーになる青年がよくマスターと話をするシーンがある。そこにマドンナがウェイトレスしてたりね。

 私は喫茶店も定食屋もチェーン店で、毎回行くたびに違うバイトがやっていたりする方が気が楽だ。店主の顔が見えない方が楽。

 まだ個人経営店が生き残っている業種って理髪店、美容室らしい。
 散髪は定期的に行き個人にやってもらうものだから、固定化しやすい。客の気持ち的に言って、頻繁に不特定多数の理髪師に変わるがわる散髪してもらう人は稀だろう。だから理髪店で大規模チェーン店化してるのは千円カット店とかくらいだろう。

 学習塾も大手チェーンが多いと思う。中学受験は特に大手が強い。個人塾があっても大手塾生の補習的個人指導型が多いのではないだろうか。

 こうして何もかも個人経営店より大手チェーン店化している中、理容室、美容室以外で個人経営店が強いのが、
私立学校
だと思う。

それを(過去記事1)のシリーズで登場した品川女学院で感じた。
 (過去記事2)で書いた韓国映画コンクリートユートピアで災害時に奮闘する住民代表や婦人会長と品女理事長が重なって見えた。

 公立学校は国や都道府県や市区町村が経営している。まさに国家的チェーン店である。市立小学校と言えど、そこで働く教員は市でなく都道府県の公務員だ。
都道府県教育委員会が人事権を持つ。

 そこへ行くと、私立学校は規模が小さい。小中高大といくつもの学校が連携している学園もあるにはある。
 品川女子も世田谷学園も同族経営だ。今の理事長や校長は親からその地位を引き継いだ。
 学校経営とはいうが経営が成り立たないと倒産となる。大阪が財政危機とか言っても大阪が潰れるわけじゃない。しかし私企業は潰れるし従業員も路頭に迷う。
 私企業を経営していくのは大変である。
 中高一貫校なら客は6年間は金払ってくれるが、毎年客の1/6は消えてしまいもう戻ってこない。毎年1/6を新規客で置き換えなければならない。そのためには金使って宣伝もするし、塾の動画にも校長が出演する。虐めも隠蔽する。ダスキンがミスタードーナツの肉まん禁止添加物の件で口止め料払ったのと同じ原理だ。

 問題なのは、客からしてみたら、一度入学したら簡単に退学して別へ行くということが出来ないことだ。

 公立学校であれば、それは行政行為の一部なので、お上へ苦情も言える。その学校の教育理念に賛同したものが通っているわけではないからだ。

 私立学校は個人経営店のようなものなので、とても狭い世界だ。教員同士が不倫しても処罰されずにそのまま同じ学校に勤めている例を知っている。異動させる先がないからだ。(過去記事1)のパワハラ事件にしたって、公立なら問題があった教員はすぐに異動になる。問題なくたって異動は早い。私学ではパワハラの加害者と被害者がずっと同じ場所で毎日大半の時間をすごす。

 私企業なんだから営業活動は熱心だ。しかし客の立場としては営業トークはまに受けてはならない。

 私学が出来ることは本来は全て公立学校は出来るし、もっと上手くできるはずだ。資本力が大きいので。
 私学がやって公立がやってないことは、出来ないのではなく、あえてしていないわけだ。
 例えばインクルーシブ教育。男女共学。

 私学は規模が小さいので国が見逃してくれているだけではある。金持ちだけ集めるとか、男女別学とか。
 国が男女共学化を進め、生徒が男女別学を求めて私学へ流れるというのは変な現象である。
 男女別学を望む声が多いなら公立でそれをやれば良いわけであふ。
 
 私企業に金払える富裕層にだけ国の方針から外れることを許す
 ということか。
 まだ男女別学の公立校を作るが、学費は高くとるという方が、国にとっては良いのではないか。


(過去記事1)