担任教諭からパワハラを受けた中2生徒Aが4年間不登校のまま卒業し,2018年春早大教育学部に現役合格した.
パワハラの経緯は以下.
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・2013年度,A氏は中2当時,所属していた陸上部で練習方針が変わってやる気を失ったため休みがちだった.
・(陸上部顧問からAが休みがちだと聞いた)担任BはAへ,陸上大会への参加を強く促され,Aは会場へ行った.
・ところが陸上部は退部扱いになっていて,大会に出られなかった.その日は寒く,風邪をひき,翌日から学校を休んだ.
・休んでから数日後に,Aの携帯電話に担任Bから電話がかかってきた.
・Aは風邪だと説明するも,担任Bは怒気を含んだ口調で学校へ来いと繰り返す.
・Aが電話を切った後も,何度も電話をかけてくる.Aの携帯電話番号を担任Bが知っているのも不可解だった.
・Aは陸上部だけでなく担任Bが顧問をしていた美術部にも所属していたが,担任Bと距離をとるため美術部退部を決意した.
・登校したAが職員室で担任Bに美術部退部を告げると担任は激怒.約1時間にわたって大声で怒鳴り,”お前は離婚家庭だから心が弱い”と罵った.
・その日以降も担任Bの暴言が続き,Aは慢性的な腹痛を発症.不登校になった.
・2014年度,中3になって担任は変わったが不登校は続いた.別居していた父が元担任Bの謝罪を求めると,中3の5月下旬に謝罪の場が設定された.
・元担任Bが謝罪のために立ち上がったところ,同席していた学年主任が謝罪を制するかのように
”Aくん,大人がこうやって謝ることの大きさをわかっているよね?”
・Aの父は”子供の心を傷つけた側がいうことではない”とただすと,元担任Bは渋々謝罪を認めた.
・Aの症状は悪化し,中3の8月に適応障害と診断され投薬治療を受けるようになった.
・中3の2014年11月,担任Cから転校推奨された.
”このまま不登校が続くようなら,中高一貫校ではあるが,別の高校に進学したらどうか”
・不登校の原因を作った学校側に転校推奨を受け学校への不信感は強まったがAは転校を拒み,高校進学.
・2015年4月,Aは高校1年になったが登校で来た日はわずかだった.非24時間睡眠覚醒症候群と診断された.
・高校1年冬に学校はAの父を呼び出し,
”出席日数が足りなくて留年してしまうので転校するという選択肢もある”
と通告した.通告者は,謝罪会の学年主任.
・Aは学校ぐるみでパワハラを隠ぺいし,退学させようとしていると感じ,監督官庁である東京都に相談した.
・わずか2日後,学校は対応を謝罪,進級も認めた.
・後日,校長から謝罪文がきて,中2の担任Bと中3の担任Cと学年主任の3人に口頭での厳重注意を行ったとあった.
・2009年文科省の通知で,不登校生徒が学校外で相談や指導を受けた場合には出席日数と認めるなど支援を学校に求めていたが,
世田谷学園はその文科省通知を知らなかった
と回答した.
・Aさんは関係者の処分を求めている.
・校長はこう言った.
”懲戒処分は必要ない”
”処分をすると学校に動揺が走って,教員が委縮する”
・2018年3月にAさんは世田谷学園高校卒業し,2018年4月早大教育学部に進学.
・2018年10月Aさん親子は世田谷学園に対し関係者処分と原因究明調査を求める通知書を送付した.
・2018年11月9日世田谷学園代理人弁護士からAさん親子に回答書が送付された.そこでパワハラを全面否定し,
処分も調査も拒否した.
”貴職らが言うような「暴力的言動」や「執拗な攻撃」をしたこと、Aさん(筆者が修正)に転校を迫ったことや留年させると脅した等の事実関係は存在しないと判断しておりますので、本通知書によるご要請には応じかねます”
・2018年11月19日Aさん親子と世田谷学園双方の代理人弁護士が面談.
・Aさんは2018年12月時点でも睡眠障害と貧血で週一回は全く動けない.
・2度の転校推奨は,推奨ではなく過去のケースを説明しただけ,と学校側は説明する.A氏側弁護士は,転校以外の選択肢を示していないので転校推奨と言える.
・世田谷学園側は,A親子に対し,客観的資料を出せ,と迫り,
”学園としての労使紛争に耐えられる調査結果ではないから懲戒処分はしない”
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以上はA氏としたが,2019年7月の記事ではA氏は実名を公表した. 佐藤悠司さんだ.
今は実名で私学相談窓口設置を求める署名活動をし,1か月で8873人の賛同者が集まり2019年8月に締め切られた.
そして佐藤さんは
・文科省に対して”教員から生徒へのハラスメント”の相談紛争に対応する公的機関設置を求めた
・東京都と世田谷区に対し,より簡易に被害生徒が相談できる窓口の設置を求めた.
佐藤さんは署名とともに賛同者の意見を東京都教育庁の担当者に手渡した.
世田谷学園って曹洞宗が運営している.
世田谷学園Wikiにはこの不祥事の事は記載されていない.
私立学校説明会に行ってもこんな話は聞けないし,パンフレットにも載っていない.
こういうところを観察しないとだめなんだよ.
2018年7月というとAさんが大学進学し,関係者処分と調査を求める通知書を出す10月より前.
その時期に次のようなPR記事で校長の話を読むとむなしい.
世田谷学園では、「Think&Share」と表現しています。この世界で私には私だけが持っているかけがえのない価値がある。それと同じようにすべての人々にその人だけが持っているかけがえのない価値があるという意味がこめられています。
(過去記事1)