学校では、挨拶とか人の目を見ろとか見るなとか、対面でのプロトコルを教えたがる。これは忖度希求型用であって、規則探求型用のプロトコルではないが、それは採用されない。

 しかしそんなものは全員にとって必須というわけではなくなりつつある。


 私の知人はコンピュータエンジニアとして働くが完全リモートだそうな。

今の会社に入社して3年間で二度しか会社へ行ったことがない。後は飲食店で忘年会をしただけだという。忘年会で一年に一度しか同僚と会わないという。


 小中学校で重要視していた集団生活なんてのは学校内でしか意味なかった。


 私が小学校に通っていた時、親も教師も私の将来のことを考えて熱心に教育しようとしていた。

 読み書き計算。

 しかし彼らはメールもインターネットもスマホもリモートワークも知らなかったし、そんなものが出現するなんて想像だにしていなかったろう。


 今我々大人は何かコンテンツをでっち上げてでも子供達に何か教えたがる。

 でもそれって子供にしたら迷惑だろう。時代は大きく変わる。どんな時代になるかなんて予想できない。

 だからこれからはみんなバラバラに違うことをやった方が良い。何が良いのか分からないんだから。運良く当たった人が周囲を助けてあげれば良い。


 前(過去記事1)でも書いたが、2022年イグノーベル賞受賞研究によれば、物理学研究でも、良い成果が出るかどうかはキャリアに依存せず、運だという。


 相関関係と因果関係の違いは(過去記事2)で書いた。人間の脳は、相関関係を因果関係と誤解してしまう癖がある。しかし実際には人生なんて運の要素の方が大きい。

 子供本人がこれが大事と思って努力する分には良いが、大人が子供に押し付けるのは傲慢だ。大人なんて先に死んでしまうのだから。


 そうそう、リモートワークと集団生活で思い出したけど、ミスタードーナツの失敗例とダイエーの成功例の話。

 ミスタードーナツはたしか1970年代に大阪で24時間営業やったが地元の商店街の反発にあって一年で閉店した。商店街では各店が週一休むことや何時以降は店を開けないというルールがあったらしい。

 今はイオンに吸収されたダイエー。ダイエーはもともと薬屋だったが、食品や家電も置いて安売りをすることで拡大した。そこでネックとなったのは地域の商工会だったらしい。肉屋は肉屋同士でギルドを作っていて、安売りする店を組合から外す。安売り店に降ろす問屋も糾弾され組合から追い出される。ところがダイエーは大量に仕入れるため、ダイエー専属で安く降ろす問屋が出てきてダイエーはスーパーとして大きく拡大した歴史があった。


 何が言いたいかと言うと、昔は客のために良い品を安く売ることだけ考えていれば良いわけではなかった。同業者たちとの閉鎖的空間で生き抜く忖度力が必要だった。


 しかしそういう忖度希求型人間たちは、グループ内では強いが、所属するグループは強くならず、外敵に弱く廃れていく。

 本来店の存在価値は、客に良い品を安く提供することが目的だったはずだ。だから商店街ギルドが潰れるのは当然のことだ。


 忖度希求型人間が幅を利かせられる社会は狭くなっていく。学校と刑務所ぐらいか。




(過去記事1)


(過去記事2)