2015年法制化し2016年4月施行された改正学校教育法.

そこではじまった義務教育学校

小中一貫校のことだ.

広島県呉市・京都府京都市・東京都品川区などが先駆らしい.

 

どうも小中一貫校が出てきた背景は行政面,教育面のふたつがあるらしい.

 

 行政面としては,少子化のため,小学校の校舎に空き教室がでてきた.そこでもう三学年,中学生分を受け入れた方が校舎や教員の利用と言う点で経済効率的だという話だ.中学校は潰して土地を売却するなり別の用途に使えるという事か.

 もともとは,小学校は6才の子供でも安全に通えるよう,家の近隣に多く建てる.12歳にもなれば自転車にでも乗って遠くのマンモス中学校へ通うようにしたほうが経済効率性があった.歴史的に言えば,義務教育は戦前まで6年間であり,中学3年間が義務教育になったのは戦後1949年度からだ.(1936年から戦中まで義務教育を8-9年にするという試みはあったが戦争で実現されなかった(過去記事1).)

 

 もう一つは教育面だ.でも,こちらは弱い.後付け感がある.中1の不登校が小6の不登校の3.91倍(全国平均)あるということだ.小6から中1への環境変化が大きい.同じ校舎・校長一人で9年間一貫して指導すれば,ギャップが小さくなるだろうという意図だ.

 ところが義務教育学校をはじめて最初の3年間ぐらいは確かに中1の不登校率は下がったものの,法律施行後8年経とうとしている今,不登校率は上がった.一貫教育に不登校率低減の効果は無いとされているようだ.まあこれはやって初めて分かったという事で実験としては意味があったと思う.

 

 ただ不登校率が高いというのは悪いことではない.現在の文科省の考え方でも不登校そのものは問題ではなく,いろいろな事情があるため登校を目標としないという法律・ガイドラインも出来た((過去記事2)の2016年教育機会確保法,2023年COCOLOプラン).

 

 私としては通信制小中学校を作るべきだと思う(過去記事3).またドイツのように学校は午前中だけにしたほうがよい(過去記事4).午後は義務でないようにし,正規教員は午後は関与しない.

 日本は教会や公園に集まるという風習もなく,歴史的に学校にすべてを詰め込みすぎている.なにか国が洗脳したいことがあると学校を利用する.部活動・健康診断・歯科検診・自転車(交通安全)講習・しつけ(生活指導)・様々な地域イベント,すべてが学校を通して行われる.不登校になると,授業だけでなく,それらのサービスも受けられなくなる.受けたければ恐怖の学校へ無理して行け,ということになる.ドイツはナチスが学校を利用して洗脳教育をしてきた暗い歴史の反省で,学校が教育の独裁者になってはいけない,という考えがある.サッカーなどスポーツ活動も学校外でのクラブチームが主体だ.

 

 義務教育9年間一貫教育になることによる不安は,閉鎖的空間がますます閉鎖的になることだ.そうすれば虐めは必然的に出てくるし隠ぺいされやすくなる.これは子供の世界に限った事ではない.

 

(資料1)

小中一貫教育制度の導入に係る学校教育法等の一部を改正する法律について(通知)

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/03/24/1365413_12.pdf

 

(過去記事1)

 

(過去記事2)

 

(過去記事3)

 

(過去記事4)