ニートの自伝・9 | シケた世の中に毒を盛る底辺の住民たち

シケた世の中に毒を盛る底辺の住民たち

リレー小説したり、らりぴーの自己満足だったり、シラケムードの生活に喝を入れるか泥沼に陥るかは、あなた次第。

「おめぇ、こんなところでなにしてんだ?」


すねの毛を丸めながら、不可思議そうに眉を寄せながら尋ねた。


僕は、飼っていたアリを放す場所を探していたのだという説明をした。


おけら様は、僕がアリを飼うことになった動機、アリを放そうと思った

動機についてしきりに尋ねてきた。


アリが野生の蚊や小バエをどう扱うのかを見てみたかったこと、
この山でアリの仲間を探して放し、しばらく一緒に生活してみたくなったことを
説明した。



「なんで?意味が分からん!
 アリを野生に放しちゃったら、蚊や小バエを巣の中でどうするか見えんけぇ!


 その虫かごの中に、蚊を入れたらいんじゃね?

 アリンコは俺が作ってやるけぇ。」


そう言うと、すねの毛を丸めて僕に見せてきた。


「ほら、アリンコ!」


そう得意げに言うと、おけら様はその毛で作ったアリンコをどんどん
虫カゴの中に、むしっては入れ、むしっては入れていった。


僕は、血を吸おうとしていたやぶ蚊を手の平でつぶし、虫カゴの中に入れた。


そうして僕とおけら様の共同作業が終わると、おけら様は興味深々と

虫カゴの中のアリを見ていた。


動かない…


アリは人間と同じで夜の間は休息を取るのだ。


そのことをおけら様に伝えると、


「なんでー?」と不機嫌そうに虫カゴを揺すった。


「そんなら、朝までおめぇの家で待つけぇ。」


あまりのやぶ蚊の多さと暑さに既にイライラしていた僕は、おけら様の
我侭を振り切るチカラもなく、適当にあいづちを打ちながら部屋へと戻った。


部屋に戻ると何故かおけら様の友達の”いよかん”もどこからか付いてきていた。


僕は、風呂の場所やテレビデオの使い方などを説明し、あまりの眠さに二人を放って
布団に入った。


二人は、最初部屋で変な振り付けのダンスを踊った。

おけら様は、いよかんの間違えには厳しかった…


ひとしきり踊り終えると、


「俺ら、明日朝早いけぇ~。いよかん目覚ましかけといて。」


そう言うと、おけら様は風呂にも入らず、僕の漫画を読み続けた。

いよかんは、風呂から上がると真夜中だというのに僕が録画していたトレンディドラマの

ビデオを見ていた。その後さらに、ドラゴンボールを見ていたのが、音で分かった…




朝、うるさい音楽が聞こえてきた。


「ぐごごごごぉ~」(いよかんのいびき)

「ラパパポカフェカ ポカカフェース…」(うるさい音楽)


5分置きにいよかんが起きて止める。


「ぐごごごごぉ~」(いよかんのいびき)

「ラパパポカフェカ ポカカフェース…」(うるさい音楽)


二人とも一向に起きる気配がない…

僕はだんだん腹が立ってきた。いったい、こいつらの生活のどこに目覚ましが必要だというのか…

しかも全然起きねーじゃねーか…


「ぐごごごごぉ~」(いよかんのいびき)

「ラパパポカフェカ ポカカフェース…」(うるさい音楽)


僕はまだ眠りたかったが、ついに我慢できずに、いよかんの目覚ましをぶっ壊すことにした。

決心し、目を開け起き上がると、部屋には誰もいなかった。

「ジリリリリ!」

最近あまり使っていなかった目覚ましが鳴り響いていた。


はて?