毎年恒例、‘元旦のヒマな午後にゴソゴソ棚を漁って今日このLPを聴くのは日本で俺だけだろ’という企画。
90年代、ほぼ毎月英RECORD COLLECTOR誌を買って読んでいた。やがて編集部まで行ってバック・イシューまで買うようになったのだが、どこかに‘英米未発売、西ドイツのみリリースのアルバム’があると書いてあった。
HOLLIESの60年代のアルバムは学生時代に全部聴いていたが、70年代にまではまだ手を伸ばしていなかったし、各別好きになるとも思えなかった。が、そんな珍しいアルバムがあるなら入手せねば!、と急激に焦りだした。
当然、日本で見つかるわけがない(当時は)。ジャケのデザインもわからない。ドイツの店頭をそこそこ見て回ったが見つからない。そんなある日、ブリストルのある店で見つけた。£14だったから、3000円はしていた。喜びよりも安堵感が先だった。
そんなわけで内容にはあまり興味を持たず、以来2度くらいしか聴いたことがなかった。そんなレコードは、毎年恒例のこの企画にぴったり、今年は悩まずすぐに本盤をひっぱりだした。
位置づけでいえば、EMIの最終作になるのか。ABBEY ROAD録音だ。歴戦のボーカル、ALLAN CLARKEが抜け、スウェーデン人のMIKAEL RICKFORSをリクルート。だいぶ濃い声質なので、バンドとしての性格もひっくり返っている。これでは英EMIが難色を示したのも仕方ないか。独HANSAは60年代からのおつきあい。スペインでもリリースがあったようだが見たことが無い。
たぶん25年ぶりくらいに聴いたのだが、およよ、かっこいいじゃないか。とくにA①をはじめ、TONY HICKSのギター・ワークが前面に出ているロック・ナンバーがいいぞ。ドラムのBOBBY ELLIOTTがそのキャリアで唯一作者としてクレジットされている「TRANS-ATLANTIC WEST BOUND JET」もはなしのネタになる。
かといって全編を通して傑作かといえば、まったくそんなことはなく、とりあえず期待?に反して‘いいロック’だね、というレベル。個人的には、70年代のHOLLIESといえば(★)以前紹介したこれをやっぱり推しておく。
メンバー自身にとっても納得作ではなかったのだろう、後にALLAN CLARKEがバンドに復帰した際には数曲を録音しなおしている。
まあでも、悪いアルバムではないんだよ。
歌詞インサート付属。以来2~3枚くらいしか見たことないから、そこそこレアなブツではある。
1973
WEST GERMANY
HANSA
87119 IT