毎年恒例、‘元旦のヒマな午後にゴソゴソ棚を漁って今日このLPを聴くのは日本で俺だけだろ’という企画。
好天に恵まれた昨日の午後、自宅のレコ棚をじっくり見てゆく。さあ今年の最初の1枚は何にすべー。他の誰かが聴くようなLPはピックアップ選外、いちばん日本で知られていない人の珍しいLPを選ぶ。
ミュージック・ビジネスの世界でいちばん有名なJBを選んだ。彼はPICCADILLY時代の「A PICTURE OF YOU」が代表的ヒット曲だが、それ以前にDECCAからリリースがある。まったく売れずにDECCAはお払い箱になった。
レーベル移籍後にヒットを連発、DECCAは悔しくて仕方ない。そこでPICCADILLYでのヒットに便乗、保有の古い音源を集めてLP化したのが本作。アルバム・タイトルもPICCADILLYでのヒット・シングルのパクり。DECCA現役時代にはLPリリースは無かった。
この人は英ミュージック・ビジネス界三大ホモのひとりである大物プロデューサー、JACK GOODにかわいがられた男。強烈なロンドン訛りでユーモラスなエンターテイナーだった。ワイルドなギター・プレイもなかなかのアピール・ポイントで、当時はHANK MARVINに続くギター・ヒーローでもあった。ジョージ・ハリスンと仲が良くて自宅も近くで、終生音楽的な交流もあった。そしてまだまだ現役でイギリス人を楽しませ続けている。
ACE OF CLUBSはDECCAの廉価レーベル。サントラ、ステージなどのエンターテイメント系のリリースが多い。
そしてDECCA現役時代のリリースはシングル4枚で7曲しかない。このLPには12曲が収められているので、5曲がここで初出となった。かなり珍しいLPだから、PICCADILLYで売れているのにわざわざ古いDECCA音源を買ってまで聴こうというファンは少なかったんだなあ。
62年
ACE OF CLUBS
ACL 1127
おまけ
デビュー・シングルのTRI-CENTRE仕様片面プロモーション・オンリー・シングル。59年
DECCAでの最後のシングル。62年。「JELLIED EELS」とはロンドン風うなぎの煮こごり。ロンドン東部の下町でときどき売っているが、俺は気持ち悪くて食べたことがない。あまりうまい物ではないだろうことは、容易に想像つく。ちなみにこの曲、日本でも「ニョロニョロ・ウナギ」とのタイトルでリリースあり。20年くらい前に一度だけ\8000で売られているのを見たことがある。べらぼうな価格に悩んで見送った。
ちなみにB面の「DINAH」はおなじみの曲。あきれたぼういずで日本でも知られる。上記の「ニョロニョロ・ウナギ」のA面扱いだった。
LPリリースはACE OF CLUBSだったけど、ほぼ同時リリースのEPはDECCAから。
きっとこのEPを買った人はヒット曲「A PICTURE OF YOU」目当てだったんだろうなあ。残念!
でも今となっては、「A PICTURE OF YOU」のシングルよりも、このEPのほうがずっと高額だよ。