(季氏第十六)
孔子曰わく、君子に九思(きゅうし)有り。視(み)るには明(めい)を思い、聴(き)くには聡(そう)を思い、色(いろ)には温(おん)を思い、貌(かたち)には恭(きょう)を思い、言(ことば)には忠(ちゅう)を思い、事(こと)には敬(けい)を思い、疑(うたが)わしきには問(もん)を思い、忿(いかり)には難(なん)を思い、得(う)るを見ては義(ぎ)を思う。
【訳】
先師が言われた。
「君子に九つの思いがある。見るときには明らかに見たいと思い、聴くときには聡くありたいと思い、顔色には常に温かくありたいと思い、姿には恭しくありたいと思い、 言葉にはまことでありたいと思い、仕事には慎んで過ちがないように思い、疑わしいときには遠慮せず問うことを思い、怒りの心が起こったときは後にくる難儀を思い、 利得を前にしては道義を思うのである」
*日常生活に重要な九つの在り方を挙げ、それぞれの到達すべ頂点を示されている。孔子は自らの日常生活でも人知れず実践して怠らず、晩年に及んで自ら得も言えない風格となって表われて来たものと思う。純良な青少年程、理論を越えて本物の老人に魅せられ、離れ難い敬親の情が湧くのである。孔子の教えを後世に伝承した優秀な弟子は皆二十歳前後の若人であった。
<論語が醸すコーチング>
【君子に九思有り】君子には、見るときには明らかに見たいと思い、聴くときには聡くありたいと思い、顔色には常に温かくありたいと思い、姿には恭しくありたいと思い、 言葉にはまことでありたいと思い、仕事には慎んで過ちがないように思い、疑わしいときには遠慮せず問うことを思い、怒りの心が起こったときは後にくる難儀を思い、 利得を前にしては道義を思うという九つの思いがあるので、コーチがクライアントと接する際は、この9つの思いを胸に抱きながら、クライアントをサポートしている。