(子路第十三)
子、衛(えい)に適(ゆ)く、冉有(ぜんゆう)僕(ぼく)たり。子曰わく、庶(おお)きかな。冉有(ぜんゆう)曰わく、既(すで)に庶(おお)し。又何をか加えん。曰わく、之を富(と)まさん。曰わく、既(すで)に富めり。又何をか加えん。曰わく、之を教えん。
【訳】
先師が衛の国に行かれたとき、弟子の冉有が御者としてお供をして行った。
先師が「人口が多いね」と言われた。 冉有がこれを聞いて尋ねた。
「おっしゃるように人口が多いですが、もし先生ならこの上に何をなさいますか」
先師が答えられた。
「民を裕福にしてやりたい」
冉有はさらに尋ねた。
「その次に何をなさいますか」
先師は答えられた。
「(道徳を主とする)人間教育を施そうと思 う」
*昭和四十四年、金剛生駒の深山に修練道場を創設して間のない頃、いち早く研修を申し込んで 来たのは松下電器産業(パナソニック) であった。当時同社は、余裕金が一二千億ある健全経営であった。この章に映発されて、今こそ人間教育をすべきだとしてまいり、以来今日まで一貫して変わらない。
<論語が醸すコーチング>
【又何をか加えん】加えて何をすれば良いのかを考えることは、行動の可能性を広げて行くので、コーチはクライアントに加えて何をすれば良いのかを問いかけ、行動の可能性を広げて行くサポートをしている。