"happy girl" (Privilege) / Nathan Davis
今年もがんばって時間をつくり、上越や東北に出向いて気分転換をしてきました。
確か安比高原のスキー場だったかな、
山間の緩斜面を気持ちよく滑っていると突然周囲に人影がなくなり、
風もなく外界の音が全く途絶えてしまったことがありました。
シンシンとふる雪の中あまりの静寂に平衡感覚を失い、いい歳こいて霊的な恐怖さえ感じて
我に返るまでの数秒間、異次元空間をさまよっているようでした。
騒音と雑踏で育った僕に無音状態は拷問ですね、驚きの体験でした。 (・・。)ゞ
そんな事はすぐに忘れていたのですが、最近になってNathan Davisのこれ、
Happy Girlを聴いていたら、あのときの不思議な経験を思い出しました。
ときに宗教的にすら聴こえる精神性の高い彼の、一音入魂の大傑作。
僕の所有する仏盤別ジャケットでの真剣な表情から得る印象も大きいかと思うけど、
タイトルから連想する陽気さは、僕には微塵も感じません。
Hal Mckusick Quintet Featuring Art Farmer(Coral)
同じサックスという名がついてはいても、アルトとテナーの出す音では
感じ方はそれぞれではあるだろうが、聴き手の受ける印象はだいぶ違うものだと思う。
テナーよりもさらに一歩グイッと心のうちに踏み込んでくる感じがするのがアルトサックス。
それも、白人系の奏者に僕のいいたい音を出す人が多いような気がする。
『白っぽい』とか『黒人特有の音色』といったよく聞く表現は好きではないし、
ここではジャケットと反対にFarmerがだいぶ前に出てきた演奏をしているけれど、
注意深くHal Mckusikの出す音を聴いていると、えげつなくハートをえぐり取る『切れ』があって、
黒人であるマクリーンやキャノンボールの投げ込む球質の重たい速球とは似ても似つかない。
クリンアップを打つ気構えでどっしり構えていないと、
内角にするどく切れ込んでくるシュートボールはとても打てやしないのだ。
僕の所有する国内ペラジャケジャケットではファーマーの顔色がゾンビのようで引いてしまうが(笑)、
心を落ち着かせて静かに聴きたくなるアルバムであります。



