昔物語(16) ふたつ目の過去世・悲しみの帰路 | 前世の記憶を辿る Past life memories

前世の記憶を辿る Past life memories

元ブログ『前世の記憶』の続き。
前世の記憶では前世以外のカテゴリーも様々書きましたが、本ブログは、
前世関係に特化させたいと思っています。

仰向けに横たわる父に駆け寄る

(名前を仮に)

イーヴァル

(とする)

の顔は蒼白だった。

 

父は、苦しそうな呼吸をしながらも、急所は外れていると息子に伝えた。

 

人の助けが必要だったが、森の中を見渡しても誰も見当たらない。その際同時に、銃弾を放った誰かがいるはずだと目を凝らしたが、誰かを見つけることはできなかった。

 

いずれにせよ犯人捜しより、父を医者に診せるのが優先--が、父を立ち上がらせようとして、自分の方が気を失いそうになった。

--2発目(もしくは1発目)の銃弾が、父の脇腹辺りを貫いたと思わせる、大量の血を見たからだ・・・

 

「大丈夫、歩ける。」

気力を失いかけるイーヴァルを、父は励ました。

 

息子は、あふれる涙を止めることができない。

 

彼にできることは、深い傷を負った父を町まで連れていくことーーその道のりは、気が遠くなるほどの長さに思える。

 

 

くじけそうになる息子を、父は、絶えず励まし続けた。

 

しかし--町の遠景がやっと見え始めた頃、父の足が止まった。

絶対に助かると信じ、気力を絞って歩き続けたが、一言も言葉を発しない父が、もう助からないことを知っていた・・

 

ついに力尽きたイーヴァルは、その場に崩れ落ちたーー二度と自分の呼びかけに答えないと分かっていながら、父の目を覚まそうと、何度も何度も声をかけ続けた・・

 

 


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