仰向けに横たわる父に駆け寄る
(名前を仮に)
イーヴァル
(とする)
の顔は蒼白だった。
父は、苦しそうな呼吸をしながらも、急所は外れていると息子に伝えた。
人の助けが必要だったが、森の中を見渡しても誰も見当たらない。その際同時に、銃弾を放った誰かがいるはずだと目を凝らしたが、誰かを見つけることはできなかった。
いずれにせよ犯人捜しより、父を医者に診せるのが優先--が、父を立ち上がらせようとして、自分の方が気を失いそうになった。
--2発目(もしくは1発目)の銃弾が、父の脇腹辺りを貫いたと思わせる、大量の血を見たからだ・・・
「大丈夫、歩ける。」
気力を失いかけるイーヴァルを、父は励ました。
息子は、あふれる涙を止めることができない。
彼にできることは、深い傷を負った父を町まで連れていくことーーその道のりは、気が遠くなるほどの長さに思える。
くじけそうになる息子を、父は、絶えず励まし続けた。
しかし--町の遠景がやっと見え始めた頃、父の足が止まった。
絶対に助かると信じ、気力を絞って歩き続けたが、一言も言葉を発しない父が、もう助からないことを知っていた・・
ついに力尽きたイーヴァルは、その場に崩れ落ちたーー二度と自分の呼びかけに答えないと分かっていながら、父の目を覚まそうと、何度も何度も声をかけ続けた・・