昔物語(17) ふたつ目の過去世・聖なる死 | 前世の記憶を辿る Past life memories

前世の記憶を辿る Past life memories

元ブログ『前世の記憶』の続き。
前世の記憶では前世以外のカテゴリーも様々書きましたが、本ブログは、
前世関係に特化させたいと思っています。

父は、誰かの誤射、又は狙われて命を失うことになってしまったであろうにも拘らず、何の義憤も恨みも、そして悔いも無くーー少なくとも、イーヴァルにはそうとしか思えなかったーーひたすら、息子をいたわり、悔しいとも言わず死んでいった・・

 

『清く』『潔い』聖なる死

 

だったからこそ、よけい悲しかった。

 

身も世もないほど泣いた後、彼は父を大木の側に埋めた・・

 

 

天涯孤独となったイーヴァルが、一人前のハンターとして独り立ちするのに、さほど時間はかからなかった。

父が自分の技術、経験を、息子に惜しみなく、余すところなく伝えていたことを、彼は、それだけで食べていけるようになった時、初めて理解した。

 

父から教わった狩猟の技術は、イーヴァルのその後の人生を支え続けたーー

ただ、父が一言も漏らさなかった自分を撃った者への義憤は、彼の中で消えることはなかった。

 

犯人は、父が倒れる瞬間を見ていたはず、それでも手を貸そうともせず、長い時が流れた今でも、謝罪しようともしていない・・

酒場で飲んでいても、そこに集う猟師達への彼の視線は鋭くなっていた--

 

敵を討ちたい・・

 

 

そんな思いを抱えながらも、白夜の空を見上げてまどろむ自身の見る夢は、母と父と、そして小さな自分の、家族揃った楽しい団らんの情景だったーー

 

 

 


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