昔物語(12) 過酷な道行 | 前世の記憶を辿る Past life memories

前世の記憶を辿る Past life memories

元ブログ『前世の記憶』の続き。
前世の記憶では前世以外のカテゴリーも様々書きましたが、本ブログは、
前世関係に特化させたいと思っています。

弟、船に乗っていた集団の長、そしてもうひとり、姉弟の世話係の男性、の4人で目的地に向い始めたが、長の方は少し歩いただけで早々と離脱した。

 

後を任された世話係に続いて進むが、小さな弟に歩調を合わせれば、どんどん時間が経っていく。

 

男は心得ていて、二人を無理させず、度々休憩を挟んでは道案内をした。

 

--何処へ向かっているのだろう・・・

 

男に訊きたくとも、必要な事しか喋ろうとしない寡黙さにその気は失せ、慧子の方としても、理由も分からず突然強いられた逃避行の先に、何が待っているのかを積極的に知りたいという勇気もなかった。

 

 

 

ひと気のない長い長い道のりは、やがて山道へと繋がる。

 

 

平坦な道に比べ、厳しい坂が続くため、弟はついに我慢の限界に達した。

 

暴発寸前の弟をなだめ、自分も不安な表情を浮かべないよう努めるが、心の内は自分が一番に泣きたい気分だった・・ただ、泣くほどの心の余裕もなかった、とにかく二人ともが無事で目的地に着くことが最優先だったから--

 

 

休憩を取る頻度が格段に増え、空腹も訴える弟を前に男は、急がないと日が暮れてしまうと返って急かすのだった。

 

最初の緩やかな旅が、迫りくる夕闇から逃れるための過酷な道行きに変わっていたーー

 

息が上がり、いつ終わりがくるとも知れぬ登り坂は、あと少ししたら、闇に包まれる時間帯になっている。

 

目的地など、もうどうでもいいと思い始めた頃、上方から下りてくる松明の明かりを目にした。

 

 

数本の明かりが自分たちの方へ近づいてくると、慧子は声を上げた。

 

前にいた弟が、ふっと浮いたのを見たからだった--松明を掲げてきた人物に抱き上げられたことを知ると、慧子は何故か理由もなく安堵した・・ずっと、これ等の見知らぬ男たちに警戒心を抱いていたにもかかわらず--

 

別の人物が、ふらつく彼女をしっかりと支えてくれた時、彼女は目的地に着いたことをはっきりと知らされるのだった・・

 

 

 


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