シモーネは女性の怒鳴り声を背に、必死に走っていた。
陽も落ち、人影の消えた畑で、手当たり次第に作物を
むしり取っていた時だった。突如、暗闇に響き渡る
泥棒!!
の声--
追手は畑の持ち主--最近、しきりと畑が荒らされる
ので、暗闇に紛れ警戒していたところ、物影が動いた。
しかしその物影は作物の葉に紛れてしまい、居場所を
特定することができない。長い間探し回ってみたものの、
最終的には諦めるしかなかった。
追手がもう来なくなったと確信した途端、シモーネは
手にしていた作物を、そのままがりがりとかじり始めた。
--お兄ちゃんの待つ教会跡へ戻ってから食べる余裕も
ないほど、お腹を空かしていたのだ・・
その頃、お兄ちゃんは、時おり傷ついて帰ることがあった。
大丈夫、と口では言うが、盗みを働く過程で争いとなり、
危ない目に遭ったのだろう、ということは、自分の経験
からも推測できた。
それでも彼は、死ぬほどお腹を空かせていても、自分の分を
削ってでも、シモーネに食物を分けてくれる--
--だが、ある日、お兄ちゃんにとって、そして、シモーネに
とっても 悲しい運命の日 が訪れることになる・・
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