『お兄ちゃん』とは、孤児院で一緒だった。
孤児達は、劣悪な家庭環境の中から救い出された子ども達
がほとんどだった。
しかし、孤児院が彼らにとって、天国のような幸せな場所に
とって変わるようなことはなかった。
子ども達に対する職員の温かみの無い扱い、子ども達は
子ども達で強い者が優位に立ち、逆らう者、弱い者をいじめ、
虐待の対象にした。
--その標的となった小さなシモーネ・・
正義感が強く、困っていたり、苦しんでいる人を見ると、放って
おけない性格だった『お兄ちゃん』は、シモーネとは血の繋がり
もないし、知り合いだったわけでもないにも拘らず、いち早く
彼女の窮状を知り、救う側に回った。
体格にも恵まれていたせいで、無法地帯のような孤児院で、
喧嘩になっても負け知らずだったことは二人にとって幸い
だった。
--が、時の経過とともに、正義のためとはいえ、騒ぎ
ばかり起こすやっかい者、のレッテルを貼られ、次第に
自由を奪われていく。
そんな職員を後ろ盾にした子ども達は、恨みを晴らす
ように、食事を奪うなどの陰湿ないじめを始めた・・
孤児院を逃げ出す時、雪のように白く、少女の手のように
痩せ細ってしまった彼の手を、シモーネは目の奥に焼き
付けている--
*~*~*~*~*~*~*~*~
彼が、どこから見つけてきたのか、シモーネの目の前に
自慢気に広げたのは2枚の毛布と2切れのパン。
お腹がすいていた彼女は、一気に平らげた。
彼女は、母の顔も父の顔も知らなかったが、少年は、
ただ一人の、かけがえのない家族となった・・
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