畑や、食料品店への盗みを繰り返しながら、食を繋いで
いた二人--寝床は、冷たい石の床・・
それでも、お兄ちゃんがいつも側に居ることで、辛いと
感じることなく、安心して眠ることもできた。
--が、盗んでも盗んでも、満足な量は得られず、空腹は
想像をはるかに越え、二人の力を奪っていく・・
その日シモーネは、空腹から何もできず、ぐったりとしていた。
そんな彼女のためにも、自分が何とかしなければ、と
力の入らない重い脚を持ち上げた少年は、出かける寸前、
もう一度シモーネの方を振り返った。
その瞬間--何かいつもと違う・・
彼女は、根拠のない不安を覚えた。
--この時彼の瞳には、哀しみや憤りなど、様々な思いが
透けて見え、それは、彼女が生涯忘れることのできない
記憶として残ることになる・・
どのくらいの時間が経ったのか--誰かが、自分に呼び
かけている声が聞こえた。
お兄ちゃんが返って来たと思い目を開けると、そこには
見知らぬ大人が自分を覗き込んでいた。
自分達を捕まえに来たのだと思い、逃げようとするが、目に
飛び込んできたのは、死んだように横たわるお兄ちゃんの姿--
目をそむけたくなるほど惨い傷を全身に負い、
殆ど息をしていないように見えるーー
彼の傍らには大人達が居て--そのうちのひとりが、
もう助からない
と呟いた・・・
ランキングに参加しています

