母は、その純粋さ故、恋人を信じ、疑う事をしなかった。
しかし同時に、その純粋さが、自身を追い詰めた・・
真っ直ぐな愛情を注ぎ、信じていたからこそ、裏切られた
と知った時の痛みは、彼女の心を深く切り裂いた。
そして時の経過とともに、精神を病んでいった母--
何を聞いても虚ろな瞳のまま言葉を発しない彼女を、
警察は病院に送ることを決めた--精神を病んだ人々を
治療するための・・
赤ん坊は母親と引き離され、孤児院へと送る手続きが
為される。
手続きが終わるまでの間、周囲の会話や事の次第、
娘にも無関心だった母が、突然正気をとり戻した。
--それは、孤児院から来た男性が、娘を抱き上げた
瞬間・・
別人のように生気に満ちた瞳を娘に向け、その名を呼び、
彼女を奪おうとする--
そんな母親を、複数の警察官が力づくで止める--
何もかもを思い出したように泣き叫ぶ母だったが、
その手は最愛の娘に触れることもできず、空を彷徨った・・
シモーネはしかし、母の嘆きをよそに、泣き疲れ、深い
眠りに落ちていた--


