農園の仕事を手伝うアナベラの腕や脚には、常に
切り傷や擦り傷があった。
朝から晩まで続く仕事は、幼さから要領を得ないことも
多く、本人も自覚のないままできる傷がほとんどだった。
そんな彼女を館に呼び寄せたのは、農園主の
花嫁
となる人だった。
許婚であった若き農園主の許へ嫁ぐため、生まれて初めて
海を渡り、英国から異国の地に足を踏み入れた。
彼女にはこちらに親類もいなかったうえ、挙式を間近に控えて
いたので、参列してお手伝いしてくれる子どもを急いで探して
いた。
そこに、白羽の矢が立ったのは、アナベラだった。
可愛らしい彼女にその役目を与えようとしたが、周囲が
反対した。
--女性は、この国の慣習が、自分の知識や思想には
無いものであることを知らなかったのだ--
奴隷制度
というものへの認識が、彼女の持っている知識と
大きくかけ離れていることを知らされたのだ・・・


