広大な農園には、大勢の奴隷が必要だった。
そのため、彼等を管理する役目を担う白人も、その数に
比例して何人も雇われていた。
白人の奴隷監督人は、馬用の手綱で奴隷を鞭打つことがある。
時には銃声が聞こえることも・・・
そんな時、大人たちはアナベラを含む子ども達をできる限り
悲惨な現場から遠ざけようと必死になる－－
*～*～*～*～*～*～*～*～
挙式を終えた農園主の婦人
－－仮に名前を
フランシス
とする－－
は、奴隷たちへの冷遇が日常である現実を知るや、即座に
アナベラを邸宅の雑用係に配置換えさせた。
大規模農園においては、邸宅内での仕事もそれ相応に多い。
アナベラを連れてきた黒人女性もそうだが、邸宅内の仕事を
任されている奴隷が何人もいた。
フランシスはアナベラに、身の回りの雑用係を命じた。
まだ小さな彼女にできることは、調理場で用意された
紅茶 のカップを奥さまの寝室まで運ぶことぐらいだったが・・
