何も無ければ、間違いなく日本を席巻していたであろう
藤井聡太六段(昨日の棋戦優勝後、五段から六段
に昇格)史上最年少V
羽生義治竜王を破ってトーナメントに勝利したこのニュースは、フィギュア・
スケート男子2人の快挙によってトップニュースとはならなかった。
羽生結弦選手が成し遂げた、日本にとって平昌第一号となる金メダルと
なっただけでなく、冬季オリンピック史に名を残す66年ぶりの連覇であり、
宇野昌磨選手の銀メダル獲得によって日本人2人がダブルで表彰台に
載るというビッグニュースは、昨日の棋戦に張り付いていた人々にとっても、
無視できないニュースとなったことには間違いないだろう--
以下に紹介する記事は、ネットではすこぶる評判のよろしくないらしい
女性記者の書いたものだ。私は感度が鈍いのか、結構好きだ。
日本経済新聞 2月18日(日) 『戴冠』原真子 抜粋
(略)
SPから1日。演技時間が2分近く長くなるフリーを前に、羽生は決断を
迫られていた。「そんなによくない」右足首の状態と、勝つために最適な
演技構成のどこで折り合いをつけるか。当日朝、1人で決断した。4回転
は右足で踏み切る大技のループを封印し、サルコーとトーループで勝負
する--。
ジャンプ構成は4回転のサルコーとトーループを2本ずつ。ルールで3種類
以上のジャンプを2度跳ぶことはできない。SPで全審判から満点3の加点
を与えられた得意のトリプルアクセルを2回入れる選択肢もあったが1回
にした。頭にあったのはSP3位で追ってくる宇野昌磨の構成だ。
4回転ジャンプを3種類で計4本、トリプルアクセル2本を入れる。基礎点
の合計は羽生より10点以上高い。自分がミスを犯し、宇野に完璧な演技
をされたら危い。かといって、4回転のループやルッツはリスクが大きすぎる。
「『跳びたい』ではなく、何よりも『勝ちたい』と思った。
この試合は勝たないと意味がないと思っていた。今回は本当に大事に結果
を取りにいった」
やるべきことが決まれば、あとは迷いなく演じるだけだった。朝の公式練習
でも6分練習でも成功率の低かった冒頭の4回転サルコー。
「いろんなことを分析して、自分の感覚とマッチさせられるのが自分の強み。
だから爆発力が出る。」丁寧に決めて3点の加点を引き出すと、続く4回転
トーループも3点もらう美しい着氷。自信がにじみ出るジャンプだった。(略)
プログラムが進むにつれ、「気」が会場に満ちていく。(略)
後半、4回転トーループの着氷が詰まったあたりから、本来の美しい着氷が
乱れ始める。最後のジャンプは負傷した右足をついて跳ぶ3回転ルッツ。
「右足が頑張ってくれた。」
転倒しそうになりながらこらえ、最後のコレオシークエンスも乗り切った。(略)
現状に安住せず、常に新しい技に挑んできた王者からすれば、勝負に
徹する戦いはポリシーに反するかもしれない。ただ、そうまでして勝ちたい
五輪だった。
この日だけを夢見てきたソチからの4年。「短かったといえば短かった。」
毎年のようにケガや病気に見舞われ、最後に一番大きな試練が待っていた。
「(ケガの多さは)それだけ、フィギュアスケートに勇気を
持って恐れず接してきたからこそです。」
羽生らしいきっぱりとした言葉に、成し遂げた偉業への誇りが滲んだ。
赤字の部分--跳びたいより勝ちたい
プログラム内容を決定した過程は、自分の現在の状態、そして未来の自分
がどうなるかを予測、『私』を『好き嫌い』を超越した、あまりにも冷静な分析
の結果だった。
あの若さで、この冷静さは、いったいどこから来るのか--年齢ではない、
修羅場を幾度も経験した、それだけではない、何度も頂点を極めた、限られ
た人間にしかできないものだと痛感した。
加えてこの言葉、
(ケガの多さは)それだけ、フィギュアスケートに勇気を持って恐れず
接してきたからこそ。
どれだけ前向きなんだ・・!このせりふで勇気をもらう人々の数は、計り
知れないと思った・・
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宇野選手に関しても、同じく日経から。
日本経済新聞 2月18日(日) 『昌磨颯爽』無記名 抜粋
(略)
宇野選手は感情を表に出すことは少なく、普段は勝利への執着を感じさせ
ない。ただ試合で満足がいかなければ、「こんな演技じゃだめだ」と失敗した
技を何度も練習する。竹内さん(同じ中京大スケート部 20)は、「その時の
集中力はものすごい」と舌を巻く。
気持ちの切り替えも早い。調子が悪いと「きょうは無理」と練習を中断しリンク
でゲームを始めることも。「ひょっとしたら練習よりゲームの時間の方がながい
かもしれない」と竹内さんは笑う。
スケート部主将の大庭雅さん(22)は「次は絶対跳んでやる」と何度転んでも
ジャンプの練習を続ける姿が印象に残る。
普段部屋のロッカー内はぐちゃぐちゃで、絵や歌は苦手。「芸術的な感覚や
繊細さは日常生活からは感じられないのに、演技になると一気に人が変わる」
(大庭さん)今回も情感あふれる滑りを終えると「いつもの昌磨」の表情に戻った。
忘れ物が多い宇野選手だけに、
「メダルを現地に忘れてこないか心配」
だそう・・( ´艸`)

