女神のように美しい、そして常に穏やかな笑みを湛えた女性--
高貴な地位にあると思われる衣装を身に纏う彼女が、まだ幼い少女の手を
引いている--
此の世のものとは思えぬ女性の美しさと、輝くばかりの豪華なドレスに心奪われ
両親のことなどすっかり忘れている--勿論この時点で、少女は後に、本当に
両親と会えなくなろうとは、知る由も無かったが・・・
巫女
彼女がスカウトしたのは、将来の巫女候補--巫女 という呼称が適切かどうか
わからないが、取り敢えず・・
彼女--仮に名を 『セレネ』 少女を 『レイラ』 とする--セレネは、レイラの
他にも何人かスカウトしており、彼女たちに教育を授ける役割を担っていた。
スカウトされた少女たちは、涼やかな風が吹き抜ける白い広間に通された。
テラスの円柱の向こうには、青い海が見える--
磨かれた石で造られたテーブルの上には、カードのようなものが並べられていた。
セレネはそのカードを使い、まるでゲームでもするように楽しく遊ばせながら覚え
込ませるという手法を取る。
それは、レイラや他の少女たちに、勉強をしているといった自覚を与えることなく、
教育を施すことができた。遊びなので、嫌になるということがない--
--上手に答えを言えた子どもを、セレネは、まるで母親がするように褒めた。
褒められれば褒められるほど、少女たちは--特にレイラは、さらに遊び(=難しい
課題)に取り組むようになり、その実力は、一目おかれるほどになっていった・・
