いつしか教え子は、レイラだけになっていた。
しかし、セレネとの一対一の授業となっても、レイラには楽しく、勉強に飽きる
ことはなかった・・・
映像はそこから、あの 丸いツール に向かう日々へと飛ぶのだが、その時
レイラは17歳。しかしそこに、母のように姉のように慕っていたセレネの姿は
無い--
17歳という若さで、その開発された目覚ましい能力のため--巫女というより、
神官に近い役職?に大抜擢された彼女。
しかし、セレネという指導者を失い、たったひとりで日々訪れる難問を解決して
いかねばならない重圧は、耐え難いものだった。
--最初の、丸いツールに向かって階段を上る姿の後、視えてきた感情が
ある。
庶民が行き交う街の片隅で、美しい衣装を纏ったまま、地面に座り込み、膝を
抱え人目もはばからず泣く姿・・・
--一般の人々が、神官の姿など目にすることはないため、この綺麗な衣装を
纏った、見るからに高位の娘と判る少女が誰なのか、何故このような場所で
悲しみに暮れているのか訝った。
それは セレネの身に起こった悲劇 --それを告げられた直後の哀しみだった・・・
