キャシーと二人、居間でふざけ合っていた時、大きく開かれた入口の向こうを、例の青年が
通り過ぎた。
ローラと目が合ったが、青年は立ち止まることなく、姿を消した。
しばらくして、窓の外を見ると青年がいる。
庭に--とても広い庭だった--椅子を持ち出して、眼前に広がる空を、ぼーっと眺めている。
物静かで、常に軽く笑顔を湛えてはいるが、無口で感情の起伏が少ないように見える彼の、
我を忘れて青い空に見入る姿に、ローラは初めて親近感を覚えた。
その夜のこと--ポーチで偶然出会った二人は、ぎこちないあいさつの後、初めての会話を
交す。
最初ぎこちなかった会話は、ほどなくして友人同士のそれに変化していく--
青年はキャシーの父の友人の息子で、病気の療養に来ている事--
まるで病人には見えない青年を訝ると、もうほとんど治っているが、大事をとって長居させて
もらっているらしいこと・・・
意外にすんなりできた会話--中でもローラが驚いたことは、想像していた以上に彼が、上
品な紳士であったこと。--アメリカ人らしくない・・・何か気高い家系に生まれ育った品格を

