海辺の家⑥ 青年 | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。


キャシーと二人、居間でふざけ合っていた時、大きく開かれた入口の向こうを、例の青年が

通り過ぎた。

ローラと目が合ったが、青年は立ち止まることなく、姿を消した。


しばらくして、窓の外を見ると青年がいる。

庭に--とても広い庭だった--椅子を持ち出して、眼前に広がる空を、ぼーっと眺めている。




物静かで、常に軽く笑顔を湛えてはいるが、無口で感情の起伏が少ないように見える彼の、

我を忘れて青い空に見入る姿に、ローラは初めて親近感を覚えた。


その夜のこと--ポーチで偶然出会った二人は、ぎこちないあいさつの後、初めての会話を

交す。

最初ぎこちなかった会話は、ほどなくして友人同士のそれに変化していく--


青年はキャシーの父の友人の息子で、病気の療養に来ている事--

まるで病人には見えない青年を訝ると、もうほとんど治っているが、大事をとって長居させて

もらっているらしいこと・・・


意外にすんなりできた会話--中でもローラが驚いたことは、想像していた以上に彼が、上

品な紳士であったこと。--アメリカ人らしくない・・・何か気高い家系に生まれ育った品格を

備えているような・・・