空の彼方に㉑ 恋人のように | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。


半次郎の故郷、そして愛する家族に対する想いは、ひしひしと伝わってくるーーが同時に、自分

していた生業、そして、得た金子が酒代に消えてしまい、ほとんど残ってはいないことから悩む

半次郎を見かね、考章は協力を申し出る。


そしてそれは、けた外れだったーー彼が申し出たのは当座の資金ではない、一家が当分の間、

食うに困らないほどの額だった・・・

が、これには、温厚な半次郎が血相を変える。


初めて怒りを露わにする半次郎ーー!


ーー長屋での生活ぶりから、彼がかなり裕福な育ちであることはよくわかっていた。

しかし、自分はおんな子供ではない、彼の囲い者でもない、と詰め寄った。


ーー要は バカにするな とーーー


考章は考章で、金額の大小の感覚の違いに気づかされ、恥じ入ることとなる・・


いずれにせよ考章は、すでに肉親のように離れがたい思いを断ち切ったのだ。しかもその思い

は、半次郎が想像する以上のものだった。


最終的に、彼は考章の申し出を受け入れ、金額もお互いが歩み寄る程度の額に収まり、いよ

いよ別れの日がやってきた。


まるで、恋人同士が離れがたいように、その日、二人は互いの目を見合った。

涙をこらえるのがひと苦労な二人は、とりわけ、今生の別れになるとは思っていなかった、が、

万感の思いでーー考章は、半次郎の今後が気がかりで仕方がない、半次郎は、忘れ物をいつ

か取りに戻らねばならないという思いを胸に秘めたままーー立ち尽くしていた・・




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