損得を考えず、半次郎の面倒をみる考章ーー
打ち解け始めた半次郎は、話の途中言葉に詰まり、涙ぐむこともあった。
ーー考章がそれを聞いた時、自分も彼が見たのと同じ
青い 青い空
を、見たような気がした・・
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ーー半次郎は、希望に燃えて上方へとやって来た。
家族に喜んでもらえるような仕事をし、いっぱい稼いで妻子のもとへと帰るつもりでいた。
が、当初の計画は、瞬く間に暗転ーー八方塞がりの状況に陥る。
今の仕事を妻が知ったら、どんなに嘆くことだろう・・・!
家族のもとへ帰るどころではないーーが、空手で帰れば、妻子の生きる道は無い・・
愛するが故の、責任を担う立場であるが故の苦しみーー
・・そんな苦しい人斬りの仕事の最中、ふとした行為が、唯一彼を癒してくれたというーー
ーーそれは 空を見上げること・・・
空は、故郷へと続いているーーー空の彼方には、愛する家族がいる、生まれ育った家は無くとも、
懐かしい故郷の地がある・・けれど今、すべてが遠い遠い夢となってしまったーー
いつか、この空に通ずる故郷へと帰る そんな希望を繋いでくれるのが、彼が見上げる
空の彼方
だった・・・
